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個人民事再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)

まずはじめに,どのような方が利用できるかについて説明したいと思います。
この要件を満たしませんと,手続きを利用したくてもできませんので,確認してみましょう。

1. 支払不能のおそれがあること
2. 法人は申立てることができず,個人債務者に限ります。
 (通常の民事再生の申立ては当然可能です。)
3. 主に小規模な個人事業主が主体となるが,サラリーマンでも利用は可能です。
4. 継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある者。
5. .再生債権の総額が5000万円以下であること。ただし,次のものを除いた残額です。
 ・住宅資金貸付債権の全額
 ・別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額
 ・再生手続開始前の罰金,科料,刑事訴訟費用,追徴金,過料
  また,利息制限法適用後の残額について判断します。
 ・手続開始後の利息・損害金も除きます。
(給与所得者等再生の場合においては,さらに,給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって,かつ,その額の変動の幅が小さいと見込ま れる者)
6. 弁済期間は原則3年間ですが,特別の事情があるときは,5年間まで伸長することができます(229条2項2号)。

 

 

(1)小規模個人再生の利用者

 

利用者 将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあることが必要です。
具体的には

 

1. 給与収入を得ている人(サラリーマン)

 

2. 自営業者
 a. 小売業,喫茶店,美容院,クリーニング店,飲食店等の個人商店で日銭収入がある者

 

 b. 農業・漁業者など
   農業者は,収入が一定時期に限られていたりしますが,農業者は,少なくとも1年に1回以上は収入が見込まれ,この1回の収入から弁済原資を貯めておくこと によって3か月に1回以上の弁済をすることが可能ですから要件に該当します。 漁業者についても,例えば遠洋業業者も上記と同様に一時弁済原資をプールしておき,これを3か月に1回以上の割合で弁済することは可能と考えられます。

 

 c. 不動産業者
  安定した収入があるとはいえませんが,一定期間を均せば安定しており,再生計画の履行が可能と見込まれれば要件を満たします。

 

3. 不動産賃貸業者
  不動産を有しており,家賃収入で生計を立てている者も,労働の対価といえませんが,要件を満たします。 しかし,不動産を有しているということにより,清算価値の問題が発生するので,実際には難しいと考えられます。

 

4. 年金生活者

 

5. アルバイトやパートタイマー

 

6. 会社役員

 

利用できない方は

 

1. 生活保護受給者
 生活保護とは,国が最低限の生活を保障する制度であることを考えると,再生手続による救済は予定していないと考えられます。

 

2. 無職
 ただし,就職が決まっており,再生手続開始決定までには収入を得ている見込みがあれば可能です。

 

3. 失業保険受給者
  3年間は弁済が継続するため,失業保険での弁済はできないと考えられます。

 

4. 専業主婦
 個人再生手続では,夫の収入で弁済をしたりなどはできません。これは,債務者以外の者が債務を引き受けたり,保証人になったりする規定が適用除外となって おり,また,対人主義を採っているため,申立人である個人債務者自身が,継続的に反復して収入がなければならないのです。

 

5. 養育費受領者
 養育費は,子供の養育のために支払われる性質のものであるため,個人再生債務者に帰属することはないためであります。

 

 

(2)給与所得者等再生の利用者

 1. サラリーマン

 

 2. アルバイトやパートタイマー
  継続的に勤務している場合は,年収を基準とした場合に,変動幅が少なければ利用することができます。

 

 3. 歩合給のタクシー運転手
 固定給部分と歩合給部分が併存している業務であっても,変動の幅が少なければ可。

 

 4. 生命保険外交員

 

 5. 使用者兼取締役
 変動の幅が少なければ可。

 

 6. 現在無職
 給与所得者等再生を行うことを求める時点では,「定期的な収入を得る見込みがある者」(239条1項)で足り,再生計画の認可・不認可の判断の時点までに 「定期的な収入を得ている者」(241条2項4号)に該当していればよいため,現在内定等があり将来の安定した収入が確保できそうであれば申立てが可能。

 

 7. 兼業農家
 農業収入が収入全体のうち20パーセントを超えることがあり得なければ利用ができる。

 

 8. 年金や恩給受給者

 

 9. 不動産賃貸業者
 賃料収入は,給与に類するとはいえず,一般的には認められていない。

2種類の個人民事再生手続き

 

 

個人民事再生手続きには,2つの手続きがあります。


  その概要をみていきたいと思います。

 

小規模個人再生

給与所得者等再生

対象者(原則) 個人事業主等 サラリーマン等(年金や恩給受給者・パート含む)
債権者の異議 頭数の半数,かつ,議決権総数の過半数の積極的な異議がなければ可決 債権者の消極的同意不要(裁判所の認可のみ)
住宅資金貸付債権 特則可(※セカンドハウスは不可) 特則可(※セカンドハウスは不可)
返済総額 債権の額の5分の1か清算価値の額の大きい方の額を原則3年で弁済(注1) 左に加え,可処分所得(注2)の2年分と比較して一番大きい方の額を原則3年で弁済
ハードシップ免責 あり あり
再度の申立て 何度でも事実上可能 認可確定後7年間は同手続きは不可
その後の破産 不認可事由とならない 認可確定から7年間は免責不許可事由に該当
過去に破産免責を得ている場合 不認可事由とならない 免責確定から7年間は不可
資格制限 なし なし
破産法上の免責不許可事由 なし(不許可事由ではない) なし(不許可事由ではない)


(注1)
再生債権額が100万円未満=その額
再生債権額の5分の1が100万円以下=100万円
再生債権額が500万円を超え1500万円以下=5分の1
再生債権額が1500万円を超え3000万円以下の場合=300万円
再生債権額が3000万円を超える場合=10分の1の額

 

(注2)
@再生計画案提出前2年間の定期的収入の合計額
A再生計画案提出前2年間の所得税,県税,住民税,社会保険料の額
B最低限度の生活費で政令で定める額 可処分所得の下限=((@−A)÷2−B)×2

 

住宅資金特別条項

 

住宅資金貸付債権とは,住宅の取得のため(土地の取得も含む)の抵当権が設定されている金銭貸付けのことです。


 これに該当すれば,自宅を手放すことなく,住宅ローン以外の一般債権については債務圧縮を受け,原則3年間で返済して,3年経過後は住宅ローンの返済に専念するといったことになります(原則3年間は,圧縮された一般債務と住宅ローンを共に支払うため,無理のない返済計画を立てることが重要です。)。。

 

住宅ローンに関する抵当権の後順位に住宅資金貸付債権以外の担保権の設定があれば利用ができません。
例えば・・・・・・・
 1番抵当権で,住宅金融支援機構(住宅ローン)
 2番抵当権で,ちばぎん保証株式会社(住宅ローン)
 3番抵当権で,○○信販会社(住宅ローン以外の債権)
住宅ローンよりも後の順番に,住宅ローン以外の債権の担保としている抵当権がある場合がこれに該当します。

 

 保証会社から代位弁済を受けている場合でも6か月以内であれば特則を使うことができます。

 

 低金利時代を反映して,ローンの借り換えが行なわれているがその借り換えの際,その他の債務も一本化し住宅ローン以外の債務もまとめて融資を受けた場合は利用ができません。

 

 根抵当権も住宅ローンを担保するものであれば利用できます。

 

 この特則を利用する場合,金融機関との事前協議が必要となります。
以前に金融機関(住宅ローン債権者)と今後の返済計画について話し合いを行う,ということです。

 

 

住宅資金貸付債権に関する特則(法第10章)


 

 住宅資金貸付債権手続は,住宅ローンの支払対処の制度であり,小規模個人再生,給与所得者等再生だけでなく,通常の民事再生手続を選択した個人も利用できる制度であります。

 

 今までの通常民事再生手続では,抵当権等の担保権には別除権が与えられ,手続の開始後も自由に担保権を実行することができること(53条) とされており,また,再生計画案が認可されても,その効力は抵当権等の担保権には及ばないこととされております(177条2項)。
 このため,住宅ローンを 抱えた債務者は,再生手続外で住宅ローン債権者の個別の同意を得ない限り担保権の実行を回避することができませんでした。

 

 そこで,住宅資金貸付債権に関する特則において,個人債務者が,生活の基盤である自宅を手放さずに経済的再生を果たすことを可能にするため,特別な扱いをする必要性からこの制度が誕生したのです。

 

 この制度は,再生計画の中に既に弁済期が到来している住宅ローン債権の弁済期について新たに条項を盛り込むことができるようになり,
  @期限の利益回復型 (199条1項(原則型)),すなわち債務不履行部分を再生計画期間内に支払って約定返済に戻るようにするものと,
  Aリスケジュール型(同条2項(最終弁 済期延長型)),すなわち@の原則型で遂行できる見込みがない場合には10年以内で債務者が70歳以内の期限まで弁済期を延長することができる,
  B(同条 3項(元本据置型)),一定期間(一般再生債権の弁済期間)元金の一部を据え置くものやC同意型のものが予定されております。

 

《住宅資金特別条項の内容》
1. 期限の利益回復型
 これは、再生計画認可決定までに遅滞していた元本・利息・損害金を一般債権の再生計画期間(原則3年)内に住宅ローンの約定元本と利息を合わせて支払っていくものです。

 

2. 最終弁済期延長型
 これには要件があります。
   @ 期限の利益回復型と同じように、最後に分割払いをした後の残元本に対する、最後に分割払いをした日の翌日から次回の分割支払予定日までの約定利息及び次回の分各支払予定日から再生計画認可決定の確定日までの遅延損害金の全額を支払うこと。
  A 住宅資金特別条項による変更後の最終弁済期が約定最終弁済期から10年を超えず、かつ変更後の最終弁済期における再生債務者の年齢が70歳を越えてはならない。
  B 支払方法が概ね以前の住宅資金貸付契約と同程度であること。(弁済期と弁済期の間隔や弁済額等)

 

3. 元本据え置き型
  一般債権者への再生計画遂行中(原則3年内)は住宅資金債権の元本を一部猶予してもらい、その後猶予されていた元本を期間延長等を利用して返済していくというものです。上記の要件が要求されます。
1,2,3の順に毎月の返済額は緩やかになっていきます。

 

4. 同意型
以上のような要件にとらわれず,債権者の同意を得られれば自由に住宅資金特別条項を定めることができます。

 

 

 住宅資金特別条項を設けた再生計画案の決議においては,住宅ローン債権者や保証会社は議決権を有しないものとされており(201条1項),その代わり,裁判所は,住宅ローン債権者の意見を聴取しなければならないとされております(同条2項)。

 

 そして,住宅資金特別条項を定めた再生計画案が無事認可されたときは,その効力は自宅に設定された抵当権等にも及び(203条1項),再生債務者が再生計画に基づく弁済を継続していく限りにおいては自宅に設定されている抵当権等の実行(競売)を回避することができるのです。

 

@ 保証人等への影響

 

 特別条項による権利変更は保証人や物上保証人に対しても効力を及ぼすこととされております(住宅資金貸付債権)。

 

A 保証会社の代位弁済

 

 住宅ローンは保証会社の保証で組まれている場合も多く(保証委託契約等),この場合,個人債務者が住宅ローンの支払いを何度か遅滞した場合,保証会社は住宅ローン債権者の求めに応じて保証債務を履行して代位弁済することになります。

 

 この場合に,保証会社が,保証債務を全部履行した日から6か月以内に再生手続の申立てがされたときに限り,住宅資金特別条項を定めることができるとされています(198条2項)。

 

 そして,住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可され確定した場合には,保証債務は最初から履行されなかったものとみなされ(巻き戻し),住宅ローン債権者 は元の債権者に復帰し,保証会社が銀行等に支払った金員は保証会社に返還されて元の住宅ローン債権者が引き続き債権者として債権を管理していくことになり ます(204条)。

 

個人民事再生のメリット・デメリット

個人民事再生のメリット

個人民事再生のデメリット

債務元金自体が大幅にカットされる 信用情報機関に登録される
将来利息はつかない 住宅ローンの債務は圧縮されない
破産手続きおける免責不許可事由があってもできる 一定の安定した収入が必要である
自宅を確保できる 手続きが複雑である
ローンのない自動車を確保できる 裁判所を通した手続きである
住宅ローンの返済方法を変更することもできる(協議) 官報に住所・氏名が掲載される
破産手続と違って職業・資格の制限がない 再生計画不認可の場合,破産手続に移行する
給与等の差押を中止することができる 住宅ローンを除く債務が5000万円以下の場合だけ
小規模個人再生は何度でも利用ができる 一般債務については保証人に請求が行く
ハードシップ免責制度がある 破産手続きより費用が高額である

小規模個人再生

 小規模個人再生手続とは,継続的収入の見込みがある「個人」で,無担保債務総額5000万円以下の者が利用できる個人債務者再生の1つの手続ですが,この申立てができるのは債務者からのみとされています(注:平成17年1月1日より,5000万円まで拡張された)。

 

 申立時には,債権者一覧表を作成・提出することを要します(221条3項)が,正確な債権額が不明な債権者については,とりあえずの金額を記載して,この額について異議を述べることがある旨を併記することができます(221条4項)(これを併記しておかないと債権者一覧表に記載した金額について後日異議を述べ ることができません。226条1項但書)。

 

費用対効果を勘案して,小規模個人再生の機関としては,通常の民事再生のような監督委員や調査委 員は置かれず,代りに個人再生委員が置かれることになりますが,この個人再生委員は,再生債権評価の申立てがあった場合を除き必要的な機関ではなく,裁判 所が必要と認めるときに選任されます(223条1項)。

 

手続開始後,債権者は再生債権を届け出ますが,届ける義務まではなく,債権届出期間内に何も届出をしないと債務者が申立時に提出した債権者一覧表の記載内容で届出をしたものとみなされます(再生債権のみなし届出。225条)。

 

債務者及び届出再生債権者は,届出再生債権に対して異議を述べることができ(226条),異議を述べられた債権者は異議に納得できない場合は評価の申立てをなし(227条1項。なお有名義債権に対する異議の場合,異議者が評価の申立てをしなければならない同項但書),個人再生委員に調査させた上で裁判所が当該再生債権額を評価します。異議のなかった債権と評価済債権は,手続内で確定します。

 

再生計画案は,債務者が作成して提出をします。再生計画は,弁済期が3か月に1回以上,原則3年間の弁済をする内容でなければなりません。

 

提出された再生計画案は,各再生債権者に送られ,書面による決議を受けることになります。議決権を有する債権者の消極的同意,すなわち,不同意と回答した者が頭数で半数未満かつ債権額で2分の1以下により可決とみなされます(230条5項)(消極的同意)。

 

通常の民事再生手続ですと,議決権者の過半数であって,議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意が必要となります(積極的同意)。

 

また,再生計画で支払うべき弁済額が弁済の基準となる債権の5分の1又は100万円のうちいずれか多い額(ただし,債権総額が100万円未満の場合はその全額)を下回っていたり,破産の場合における配当額を下回っているときは再生計画は認可されません(231条2項5号,230条2 項,174条2項4号,241条2項2号)。

 

認可決定の確定により手続は終了し,再生計画に基づく履行は,債務者自らが行い裁判所や再生委員がその後も関与することはありません。

 

小規模個人再生で最低限支払う金額は,

再生手続きの中で認められた債務額

最低返済額

100万円未満の場合 債務全額
100万円以上500万円以下の場合 100万円
500万円を超え1500万円以下の場合 債務総額の5分の1の額
1500万円を超え3000万円以下の場合 300万円
3000万円を超え5000万円以下の場合 債務総額の10分の1の額

 

 

次に考えなければならないのは,清算価値保障というもので,これは,破産をした場合よりも多くの金額を配当に当てなければならない原則をいいます。

 

例えば,
債務額が250万円の場合で考えていくと,上記の表に照らせば,100万円を支払えば足りることになりますが,仮に生命保険の解約返戻金が80万円あり,退職金見込み額が40万円である場合,財産の合計額は120万円になります。

 

この場合100万円<120万円ですので,多い額の120万円を最低弁済額としなければならない,ということになります。
つまり,小規模個人再生の最低弁済額は,
上記表で算出した額と,清算価値(再生手続開始決定時の財産の額)を比較し,多い方の金額を返済にあてなければならない,ということです。

給与所得者等再生

給与所得者等再生の要件は,小規模個人再生の要件の他,次の要件をも満たさなければなりません。

 

給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって,かつ,その額の変動の幅の小さいと見込まれること(239条1項)。

 

具体的には,源泉徴収票等の客観的な資料に基づいて過去の収入を把握できる者で,その収入の変動幅が年収単位で20パーセントに満たない程度の者であること(年単位で)。

 

次に,小規模個人再生の要件に加え,
可処分所得というものを検討しなければなりません。

 

給与所得者等再生手続では,再生債権者の同意が不要であるので,この債権者の同意に代るものとして可処分所得要件(241条2項7号),これをも満たす弁済額でなければならないのです。

 

可処分所得の算出方法は,

 

(T)再生債務者の実質収入額については,再生計画案を提出する前2年間の再生債務者の「給与」または「給与に類する定期的な収入」の額から,所得税,住民税(市県民税)及び社会保険料に相当する額を控除した額を2で除して1年分の収入額を算出します。

 

そして,その金額から再生債務者及びその扶養を受ける者の最低限度の生活をするために必要な政令で定める1年分の費用を控除し,その額を2倍したものが可処分所得となります(241条2項7号ハ)。

 

可処分所得={(2年間の収入の合計−所得税−住民税−社会保険料)÷2−最低生活維持費}×2

 

※最低生活維持費とは,「民事再生法第241条第3項の額を定める政令」によって,生活保護法による保護の基準をベースに,再生債務者及び扶養を受けるべき者の年齢,居住地域,世帯に応じて一律に定められています。

 

(U) 次に,リストラなどによって再生計画案提出前2年間の間に5分の1以上の収入の変動があった場合は,当該事由が生じた時から再生計画案を提出した時までの 間の収入の合計額から,これに対する所得税や住民税,社会保険料に相当する金額を控除した額を1年間あたりの額に換算して計算する(同号イ)。

 

可処分所得={(変動後の収入−所得税−住民税−社会保険料)÷変動後の日数×365日−最低生活維持費}×2

 

(V) 再生債務者が,再生計画案提出前2年間の途中で給与所得者等再生の要件を満たすこととなった場合(例えば3年間無職あったが再生手続申立時の前に就職して サラリーマンになったようなとき)は,その時点から再生計画案提出までの間の収入合計額からこれに対する所得税,住民税及び社会保険料に相当する額を控除 した額を1年分に換算して算出します(同号ロ)。

 

可処分所得={(該当後の収入−所得税−住民税−社会保険料)÷該当後の日数×365日−最低生活維持費}×2

 

最低弁済額については,
小規模個人再生の要件の他,上記可処分所得の額も考慮して,一番高い金額を最低弁済額としなければ認可されません。

 

再生手続と破産手続の比較

債務者がこれらの手続の申立てをするか,自己破産の申立てをするかの先後関係については法律上の制限はなく,この法律に規定がないのは,何れの手続きも自由に選択できる趣旨になっています。

 

前述のとおり,個人債務者再生では将来の収入の一部が弁済原資とされ,かつそれは破産の場合の清算価値を下回らないものとされているので,破産免責を受けるほうが債務者にとって有利であるかに見えます。

 

しかし,将来収入の一部を弁済することになってもそれと引換えに破産者となることを免れるメリットもありますし,住宅を手放さないで債務の整理ができるという利点,さらにハードシップ免責の制度もあります。

 

そのため,破産者になると資格を失う債務者や自宅だけは維持したいという債務者にとっては破産手続きよりも利用しやすいといえます。

 

(1) 手続選択面における違い

 

@個人債務者再生と通常の民事再生との関係

 

個人債務者再生は,通常の民事再生とともに「再生手続」という「再建型の倒産処理手続」の一つとして,民事再生法の一部となります。

 

これは,開始手続については,共通の手続が用意され,開始決定において「通常の民事再生手続」「小規模個人再生手続」「給与所得者等再生手続」という3つの種類の民事再生手続についていずれかを開始するかが決定されるという構造になっています。

 

こ の3つの再生手続に関してその種類の選択は,債務者のみが行えます(221条・239条)。再生債務者が再生手続の開始を申立てた場合には,債務者は開始 される再生手続の種類に優先順位をつけることができますが,債務者が手続開始の申立てをした場合には,それに加えて,債務者は開始される再生手続の種類を限定することもできます。

 

A個人債務者は,その利用資格を充たす限り,小規模個人再生,給与所得者等再生と破産免責のいずれかによるかを選択できます。
これは明文の規定はありませんが,特に制限を設けていないのはその趣旨です。

 

(2)相違について
@個人債務者再生と通常の民事再生との相違

 

個人債務者は,通常の民事再生に比べて,いわば個人債務者限定の再建手続といえるもので,利用者を個人の債務者に限定してそれにふさわしいように手続を簡易化・省力化・合理化し費用もかからないようにしたものといえます。

 

A個人債務者再生と破産手続きとの相違

 

小規模個人再生

給与所得者等再生

通常民事再生

破産

債権者申立

不可

不可

債権者の計画案提出権

なし

なし

あり

 

手続きの追行 債務者中心 債務者中心 債務者中心だが原則監督委員の監督あり 裁判所または破産管財人
要件 支払不能のおそれ 支払不能のおそれ 支払不能のおそれ等(個人の場合) 支払不能
債務額の要件 住宅ローンを除き5000万円まで 住宅ローンを除き5000万円まで

なし

なし

債権者同意の要否 債権者の半数以上,債権額の過半数の不同意がないこと 不要 債権者の過半数及び債権額の半数以上の積極的同意 不要
資格制限

なし

なし

なし

あり

再申立て

認可から7年間不可

免責確定後7年間は不許可事由
支払の有無

あり

あり

あり

原則なし(資産の範囲で有無が決定)
手続中の執行

不可

不可

不可

管財事件では不可だが同廃は中止される
自宅の維持

不可

確定力・執行力

なし

なし

債権者にあり

債権者にあり(管財)
不許可要件

なし

なし

なし

限定列挙であり

実務上問題になる債権・再生手続開始要件など

実務上問題になる債権

 

1 滞納家賃

 

再生手続開始前から賃料を延滞していた場合には,債権者の賃料請求権は再生手続開始前の原因に基づくものであるから,再生債権(再生手続きによってしか弁済をすることができない)といえ,再生手続開始前には滞納がなく,手続開始後に滞納分が発生した場合には,119条2号の「再生手続開始後の再生債務者の業務,生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」ということで,共益債権となり再生手続によらずして弁済をすることが可能。

 

→再生債権に該当した場合は,保証人または第三者弁済も考慮

 

2 養育費

 

 再生手続開始前に履行期が到来したもの → 再生債権

 

 再生手続開始後に履行期が到来するもの → 共益債権

 

※平成16年度の民事再生法改正により,次の請求権については,当該再生債権者の同意がある場合を除いて,権利の変更等を行うことができない。
1.再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
2.再生債務者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
3.次の義務に係る請求権 a.民法752条の夫婦間の協力および扶助義務
b.民法760条の婚姻から生ずる費用の分担義務
c.民法766条の子の監護に関する義務
d.民法877条から880条までの規定による扶養義務

 

 

3 電気・ガス・水道・電話代等

 

再生手続開始申立前までの発生した分 → 一般優先債権(民法306・310条)

 

再生手続開始申立後の分 → 共益債権(119条2項)

 

従って,何れも随時弁済をすることが可能

 

4 リース料債権

 

再生債務者が個人タクシーや宅配の請負業,飲食店などを営んでいる場合,この個人事業者は事業に必要な自動車や冷蔵庫をリース契約により使用している場合がある。

 

しかし,通常のリース契約において,リース料の支払いを遅滞した場合や民事再生の申立てをした場合,リース物件を引き上げて,これを換価し,リース料の弁済に充てられることになります(別除権付再生債権)。

 

そうすると,事業継続に必要な商売道具を失う結果,廃業等をしなければならない事態も想定されます。

 

このような場合に,リース料債権者と弁済協定を締結して,事業を継続していく必要があります。

 

この根拠は,119条2項「再生手続開始後の再生債務者の業務,生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」に該当する結果共益債権となるということです。

 

しかし,弁済協定を安易に締結することは,85条1項(再生手続によってのみ弁済をすることができる)に反する結果,不認可事由に該当する場合もありえるため,事前に裁判所に対して上申しておく必要があります。

 

なお,サラリーマンが自動車を通勤に使用するという理由では不可。

 

再生手続開始決定の要件

 

次の事由に該当すれば棄却されます。
1.費用の予納がされていない
2.既に破産手続きが開始されていて,その手続によることが債権者一般の利益に適合するとき
3.再生計画案の作成若しくは可決,認可の見込みがないことが明らかなとき
4.不当な目的若しくは不誠実な申立て
5.申立てをした債務者に破産の原因たる事実(支払不能)に陥るおそれが客観的にない場合。ただし,事業者の場合は,事業の継続に著しく支障を来たすことなく弁済期にある債務をできないとき

 

以上が通常の民事再生でも同様な要件で、次に各特則の要件を述べると

 

小規模個人再生の場合(上記の事由も含めて)
6.将来において継続的または反復して収入を得る見込みがない
7.再生債権の総額(再生手続開始前の罰金等,別除権として扱われる債務がある場合は,担保権で回収できる額,住宅資金特別条項を定めようとする場合で住宅資金貸付債権の額を除く)が,3000万円(平成17年1月1日より5000万円)を超えているとき

 

次に給与所得者等再生については,通常の民事再生の特則であると同時に小規模個人再生についての特則となるので上記に加えてさらに
8.給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり,かつ,その収入の幅の変動が小さいと見込まれない
9.給与所得者等再生手続を過去に行い再生計画を遂行していた場合,前回の再生計画案認可決定の確定の日から10年以内(平成17年1月1日より7年以内)の申立て
10.過去にハードシップ免責を受けており,前回の再生計画案認可決定の確定の日から10年以内(平成17年1月1日より7年以内)の申立て
11.過去に破産免責を受けており,前回の免責決定の確定の日から10年以内(平成17年1月1日より7年以内)の申立て

 

ハードシップ免責は債権者の同意もなく,債務が免除されるという点で破産免責と共通しており,給与所得者等再生は,債権者の意思にかかわりなく権利内容を一律に変更してしまうため,要件が厳しくなっております。

 

開始要件を欠いた場合の取り扱い
1.再生手続の申立てをし,小規模個人再生を求める申述をする場合には,同時に小規模個人再生固有の開始要件に該当しない場合には,通常の再生手続の開始を求めるかどうかを明らかにしなければなりません(221条6項)。 1.小規模個人再生の申立人が通常の民事再生手続を希望しない場合
2.通常の民事再生を希望した場合

 

2.再生手続の申立てをし,給与所得者等再生の利用を選択する場合は,給与所得者等再生固有の要件を欠いていた場合に,小規模個人再生手続の開始を求めるかどうかを明らかにしなければなりません(239条3項)。 1.給与所得者等再生の申立人が小規模個人再生の申立てを希望しない場合
2.小規模個人再生を希望する場合

 

 

執行停止とは?

 

民事再生開始決定の効力
1.訴訟手続は中断しない。つまり,法律上の取立て行為は止まりません。(通常の民事再生では中断事由となる)
仮に手続期間中に債務名義をとられても,次のように強制執行ができず,再生計画案に沿った権利変更がなされる。
2.強制執行等の禁止等 1.再生債権に基づく強制執行,仮差押,仮処分などを行うことができず,既になされている場合は,中止されます(238条・245条は39条1項の適用を排除していない)(資料4)。
2.開始決定がされるまでの間については開始決定があるまでの間,利害関係人の申立てか職権で,再生裁判所が再生債務者に対する破産手続き,強制執行等を命令によって中止させる制度があります(26条)(資料5)。

 

例えば,給与債権が差押を受けている場合,申立てと同時にこの申立てを行えばよく,さらに開始決定が出たら直ちに差押命令の取消命令を得る必要があります。その後,これを執行裁判所に上申書で報告することになります(仮差押も同様)。

 

再生計画案について

再生計画案の作成

 

(1)再生債権者間平等の原則

 

 例外
1.不利益を受ける再生債権者の同意がある
2.少額再生債権の弁済時期につき別段の定めをする(資料9)
3.再生手続開始後の利息,再生手続開始後の不履行による損害賠償および違約金請求権,再生手続参加の費用については,何れも再生手続開始後のものでも例外的に再生債権(84条2項)とされ,再生債権に派生ないしは附従するものであり,劣後的な取り扱いをしても不合理ではないため,実務上は,「再生手続開始 決定の日以降の利息・損害金については全額について免除を受ける。」という内容になります。
4.平成17年1月1日より次の例外が加わります。 I.再生債務者が悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
II.再生債務者が故意または重過失により人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権
III.次の義務に係る請求権 i.民法752条の夫婦の協力および扶助義務
ii.同760条の婚姻費用の分担義務
iii.同766条の子の監護義務
iv.同877条から同880条までの扶養義務
v.(@)〜(C)までの義務に類する義務であって,契約に基づくもの

 

 

 

(2)再生計画案の及ばない範囲
1.別除権者
2.保証人
3.連帯債務者
4.物上保証人

 

3 再生計画の変更

 

(1)認可後の再生計画案の変更

 

やむを得ない事由で認可された再生計画の履行が著しく困難になった場合は,再生計画変更の申立てが可能(234条)。

 

この場合,再生計画の最終弁済期日より2年を超えない範囲で延長できる(234条1項)。

 

(2)ハードシップ免責

 

再生計画履行中に,再生計画に基づく弁済が極めて困難になった場合,次の要件を満たせば,それ以後の再生債務は免責される。なお,給与所得者等再生にも適用されます。
1.ア 再生債務者が,その責めに帰することができない事由により再生計画を履行することが著しく困難になった場合
2.再生計画における各弁済が4分の3以上終えている
3.免責を決定することが再生債権者の一般の利益に反するものではない(清算価値保証の原則) (つまり,破産の場合の配当を下回らないこと)
 この場合の清算価値は,ハードシップ免責時ではなく,再生計画認可時における清算価値をいう
 例えば,100万円を弁済する再生計画が認可され,このときに50万円の配当可能な財産を有していた場合,75万円を支払った段階でイとウの要件を満 たしますが,認可時に80万円の配当財産があった場合には,80万円を支払って初めてこの要件を満たすことになります。
4.再生計画の変更をすることが極めて困難であること

 

(3)再生計画の取消し制度

 

再生債権者は,次の事由があるときは,再生計画の取消しを申立てることができる。
1.再生計画が不正の方法で成立した
2.再生債務者が再生計画の履行を怠った
この場合は,再生計画の定めによって認められた権利の全部について(履行された部分を除く)裁判所が評価した額の10分の1にあたる再生債権者で,かつ, 履行期が到来しているにもかかわらず履行を受けていない債権者に限られる(再生債権者が数人で未履行部分を有する場合,その数人で申立てることは可能)
3.再生債務者の一定の行為について裁判所の許可にかかるにもかかわらず,それに違反した場合
4.再生計画が認可確定した後,弁済総額が再生計画認可決定時において破産配当金額を下回ることが明らかになった
5.給与所得者等再生手続終了後(認可決定確定後)可処分所得要件を満たさないことが明らかになった

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