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債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者

貸金業者向けの総合的な監督指針(金融庁)

金融庁が指針として公表する貸金業者向けの監督指針の中で,特に債務整理を行う場合や,消費者あるいは事業者が知っておくべき事項について,重要と思われる該当箇所を抜粋して紹介します。

 

構成は,次の3部の大きなカテゴリーに分かれており,各部で詳細な指針を定めている。
I. 基本的考え方
II. 貸金業者の監督に当たっての評価項目
III. 貸金業者の監督に係る事務処理上の留意点

 

 

債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 I −1 貸金業者の監督に関する基本的考え方
 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 I −1−1 貸金業の監督の目的
 貸金業は、消費者及び事業者の多様な資金需要に利便性の高い融資商品の提供や迅速な審査等をもって対応することにより、その円滑な資金調達に寄与しており、我が国の金融システムにおいて、預金という原資の性格上、リスクの高い融資には慎重に対処せざるをえない預金取扱金融機関の融資を補完する重要な役割を果たしている。

 

他方、貸金業の利用については、その対価として高い金利が求められ、返済可能性を十分に考慮しない安易な借入れが多重債務化につながりやすいとの指摘がある。また、貸金業者のビジネスモデルについても、適切な規制や監督を欠く場合には、このようなリスクを利用者に理解させ債務者の破綻を未然に防止する取組みが不十分なまま、過度な貸付けや債権回収が行われるおそれがあると指摘されている。

 

貸金業法(昭和58年法律第32号。以下「法」という。)は、このような指摘を踏まえ、多重債務問題の解決と貸金業の健全化に資する措置を包括的に規定したものであり、当局としては、法に基づき、貸金業者の登録制度、業務規制、自主規制機関である貸金業協会(以下「協会」という。)の認可等を的確に実施し、貸金業を利用する資金需要者等の利益の保護を図るとともに、健全な競争により市場メカニズムが十分に機能する貸金市場が構築されるよう促し、もって国民経済の適切な運営に資することを監督の目的とする。

 

債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −1 経営管理等

 

 貸金市場が健全な発展を実現していくためには、貸金業者の経営陣(代表者、取締役会のほか代表者等で構成される経営に関する事項を決定する組織等をいう。以下同じ。)が率先して法令等遵守態勢の整備等に努めるなど、資金需要者等の利益の保護に問題が生じることのないよう経営を行うことが重要である。

 

貸金業者の監督に当たっては、経営陣が健全な業務運営の実現に配慮し、指揮・監督機能を適切に発揮して、与えられた責務を全うしているか、法令等遵守を重視する企業風土を醸成する責任を果たしているかといった観点等に留意するものとする。

 

なお、監督に当たっては、貸金業者の自主性を尊重するとともに、貸金業者に対しては専業規定がなく、業態や規模等が多岐にわたっていることに留意し、当該貸金業者の業務運営の実態を踏まえて対応する必要がある

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−1 法令等遵守(コンプライアンス)態勢等

 

 貸金業者が貸金市場の担い手としての自らの役割を十分に認識して、法令及び社内規則等を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めることは、貸金業者に対する資金需要者等からの信頼を確立することとなり、ひいては貸金市場の健全性を確保する上で極めて重要である。
 また、貸金業者は、適正な業務運営を確保する観点から、業務に関して適切な社内規則等を定め、不断の見直しを行うとともに、役員及び貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者(以下「役職員」という。)に対して社内教育を行うほか、その遵守状況を検証する必要がある。

 

なお、社内規則等については、貸金業者のそれぞれの規模・特性に応じて、創意・工夫を生かし、法令及び法の趣旨を踏まえ自主的に策定する必要があるが、その内容については協会の策定する自主規制規則に則った内容が求められる。

 

また、本監督指針の各着眼点に記述されている字義どおりの対応が貸金業者においてなされていない場合であっても、当該貸金業者の規模や特性などからみて、資金需要者等の利益の保護の観点から、特段の問題がないと認められれば、不適切とするものではない。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−2 顧客等に関する情報管理態勢

 

 資金需要者等に関する情報については、当該情報が漏えいした場合に、それを無登録貸金業者が悪用するなど資金需要者等への影響が懸念されるため、その適切な取扱いについては、貸金業法施行規則(昭和58年大蔵省令第40号。以下「施行規則」という。)第10条の2、第10条の3及び第10条の4の規定に加え、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン(以下「保護法ガイドライン」という。)及び金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針(以下「実務指針」という。)の規定に基づく措置が確保される必要がある。

 

また、クレジットカード情報(カード番号、有効期限等)を含む個人情報(以下「クレジットカード情報等」という。)は、情報が漏えいした場合、不正使用によるなりすまし購入など二次被害が発生する可能性が高いことから、厳格な管理が求められる。

 

さらに、貸金業者は、法人関係情報(金融商品取引業等に関する内閣府令第1条第4項第14 号)を入手し得る立場であることから、その厳格な管理と、インサイダー取引等の不公正な取引の防止が求められる。

 

以上を踏まえ、貸金業者は、資金需要者等に関する情報及び法人関係情報(以下「顧客等に関する情報」という。)を適切に管理し得る態勢を確立することが重要である。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−7 苦情等への対処(金融ADR制度への対応も含む)

 

 貸金業者が資金需要者等からの相談、苦情、紛争等(以下「苦情等」という。)に迅速かつ適切に対応し、資金需要者等の理解を得ようとすることは、資金需要者等に対する説明責任を事後的に補完する意味合いを持つ重要な活動の一つである。

 

また、資金需要者等からの苦情等が当該貸金業者の業務運営に係る問題提起であり、業務改善や資金需要者等へのサービス向上のために有益な情報であることを認識することも重要である。

 

近年、資金需要者等の保護を図り貸金業務(法第2条第19 項で規定する「貸金業務」を指す。以下同じ。)への資金需要者等の信頼性を確保する観点から、苦情等への事後的な対処の重要性はさらに高まっている。

 

このような観点を踏まえ、簡易・迅速に苦情処理・紛争解決を行うための枠組みとして金融ADR制度(ADRについて(注)参照)が導入されており、貸金業者においては、金融ADR制度も踏まえつつ、適切に苦情等に対処していく必要がある。

 

(注)ADR(Alternative Dispute Resolution)

 

訴訟に代わる、あっせん・調停・仲裁等の当事者の合意に基づく紛争の解決方法であり、事案の性質や当事者の事情等に応じた迅速・簡便・柔軟な紛争解決が期待される。

 

貸金業務に関する申出としては、相談のほか、いわゆる苦情・紛争などの資金需要者等からの不満の表明など、様々な態様のものがありうる。貸金業者には、これらの様々な態様の申出に対して適切に対処していくことが重要であり、かかる対処を可能とするための適切な内部管理態勢を整備することが求められる。

 

加えて、貸金業者には、金融ADR制度において、苦情と紛争のそれぞれについて適切な態勢を整備することが求められている。

 

もっとも、これら苦情・紛争の区別は相対的で相互に連続性を有するものである。特に、金融ADR制度においては、指定ADR機関(注)において苦情処理手続と紛争解決手続の連携の確保が求められていることを踏まえ、貸金業者においては、資金需要者等からの申出を形式的に「苦情」「紛争」に切り分けて個別事案に対処するのではなく、両者の相対性・連続性を勘案し、適切に対処していくことが重要である。

 

(注)指定ADR機関とは、法第2条第18 項に規定する「指定紛争解決機関」をいう。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者  II −2−7−1 苦情等対処に関する内部管理態勢の確立

 

 貸金業者は、金融ADR制度において求められる措置・対応を含め、資金需要者等から申出があった苦情等に対し、自ら迅速・公平かつ適切に対処すべく内部管理態勢を整備する必要がある。

 

また、経営陣は、苦情等対処機能に関する内部管理態勢の確立について、適切に機能を発揮し、業務の規模・特性に応じて、適切かつ実効性ある態勢を整備する必要がある。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−7−2−3 各種書面への記載

 

 貸金業者は、各種書面において金融ADR制度への対応内容を記載することが、法令上、義務付けられている(法第16 条の2に規定する契約締結前の書面等)。それらの書面には、指定ADR機関が存在しない場合は苦情処理措置・紛争解決措置の内容を記載する必要があるが、例えば、貸金業者が外部機関を利用している場合、当該外部機関(苦情処理・紛争解決にかかる業務の一部を他の機関に委託等している場合、当該他の機関も含む)の名称及び連絡先など、実態に即して適切な事項を記載するべきことに留意する。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−9 貸金業務取扱主任者

 

 主任者に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 

(1)主な着眼点

 

  @法令等を踏まえた社内規則等の整備
   イ. 法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、主任者を適正に設置するための社内規則等が整備されているか。
   ロ. 法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、主任者の果たすべき役割、その権限などを規定した社内規則等が整備されているか。

 

  A主任者の役割等に関する実施態勢の構築
   イ. 社内規則等に基づき、主任者の適正な設置及び主任者が適切に助言・指導を行うことができるよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
   ロ. 主任者を、法令及び社内規則等に則って営業所等ごとに適正に設置するための態勢が整備されているか。
(注1)営業所等ごとに設置する主任者数は、法第12条の4第2項の従業者名簿に記載されるべき従業者の数で除した数が50分の1以上になることに留意すること。
(注2)施行規則第10条の8に規定する「営業所等において貸金業の業務に従事する者」とは、法第12条の4第2項に規定する従業者名簿に記載されるべき従業者数の数と一致することに留意すること。
   ハ. 社内規則等に則り、主任者の役割等を適正に確保するための態勢が整備されているか。

 

  例えば、資金需要者等から苦情の申出があった場合、申出内容を確認の上、当該苦情等に関係する使用人その他の従業者を指導するなど、主任者が適切に助言・指導を行うことができる態勢が整備されているか。

 

 

  B内部管理部門等における実効性確保のための措置
 主任者の設置や主任者の果たすべき役割、その権限に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、主任者の適正な設置や主任者の果たすべき役割、その権限について実効性が確保されているか。

 

 

 

(2)留意事項

 

  @施行規則第10条の7第1号の「常時勤務する者」とは、営業時間内に営業所等に常時駐在する必要はないが、単に所属する営業所等が1つに決まっていることだけでは足りず、社会通念に照らし、常時勤務していると認められるだけの実態を必要とする。

 

  A従業者が従業者名簿の記載対象となるか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断することになるが、勧誘や契約の締結を含む営業、審査、債権の管理・回収及びこれらに付随する事務に従事する者であれば雇用関係・雇用形態を問わず、該当すると考えられる一方、人事、総務、経理、システム管理等その業務遂行の影響が、通常、資金需要者等に及ばない業務に従事する者は、原則として該当しないと考えられる。

 

  B法第12条の3第3項に定める「予見し難い事由」とは、個別具体的に判断されるが、急な死亡や失踪など限定的に解釈されるべきである。
  会社の都合や定年による退職など会社として予見できると思われるものは含まれない。

 

  C法第12条の3第3項に定める「必要な措置」とは、営業所等への主任者の設置又は当該営業所等の廃止などが該当する。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−10 禁止行為等

 

 法第12条の6(禁止行為)に係る監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 

(1)主な着眼点

 

  @資金需要者等に虚偽を告げることや不確実な事項について断定的判断を提供することを禁止するなど、法第12条の6の禁止行為に関し規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

 

  A内部管理部門において、社内規則等に基づき、適正な業務が行われているか検証する態勢が整備されているか。

 

(2)留意事項

 

  @法第12条の6第1号に規定する「貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない」行為に該当するかどうかは、個々の事実関係に則して判断する必要があるが、例えば、次のような行為を行う場合には、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、同号から第3号に規定する「告げる」又は「告げない」行為とは必ずしも口頭によるものに限られない。

 

   イ. 資金需要者等から契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えること。
   ロ. 資金需要者等が契約の内容について誤解していること又はその蓋然性が高いことを認識しつつ正確な内容を告げず、資金需要者等の適正な判断を妨げること。

 

  A法第12条の6第4号の規定は、貸金業者が業務を運営するに当たり不適切な行為を禁止するものであり、「偽りその他不正又は著しく不当な行為」に該当するかどうかは、個別の事実関係に則して、資金需要者等の利益を害する程度や業務の不適切性の程度を総合的に勘案して判断することとなるが、例えば、貸金業者が次のような行為を行う場合は、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、「不正な」行為とは違法な行為、「不当な」行為とは客観的に見て、実質的に妥当性を欠く又は適当でない行為で、不正(違法)な程度にまで達していない行為をいう。

 

   イ. 契約の締結又は変更に際して、次に掲げる行為を行うこと。

 

    a. 白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。
    b. 白地手形及び白地小切手を徴求すること。
    c. 印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。
    d. 貸付け金額に比し、合理的理由がないのに、過大な担保又は保証人を徴求すること。
    e. クレジットカードを担保として徴求すること。
    f. 資金需要者等に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなど虚偽申告を勧めること。
    ロ. 人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払を要求すること。なお、一切の金銭の支払とは、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするかを問わない。
    ハ. 顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった貸付けの金額や貸付日などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること。
    ニ. 貸金業者が、架空名義若しくは借名で金融機関等に口座を開設し又は金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振込みを行うよう要求すること。
    ホ. 資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、契約を締結すること。
    ヘ. 資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、次に掲げる行為を行うこと。
      a. 資金需要者等に一方的に不利となる契約の締結を強要すること。
      b. 今後の貸付けに関して不利な取扱いをする旨を示唆すること等により、株式、出資又は社債の引受けを強要すること。
      c. 貸付けの契約の締結と併せて自己又は関連会社等の商品又はサービスの購入を強制すること。
    ト. 確定判決において消費者契約法(平成12年法律第61号)第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む貸付けに係る契約(消費者契約に限る。)を締結すること。

 

(3)監督手法・対応

 

  検査の指摘事項に対するフォローアップや、不祥事件届出等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の業務に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

 

更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−11 契約に係る説明態勢

 

 契約に係る説明態勢に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意するものとする。

 

(1)主な着眼点

 

  @法令等を踏まえた社内規則等の整備
  資金需要者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえた説明態勢に関し、具体的かつ客観的な基準を定めた社内規則等を整備し、役職員が社内規則等に基づき適正な貸付けの契約(貸付けに係る契約又は当該契約に係る保証契約をいう。以下同じ。)に係る説明を行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。また、貸付けの契約に係る説明を行った際の状況に係る記録の方法を定めるなど、事後検証が可能となる措置が講じられているか。
(注)「貸付けの契約に係る説明」とは、貸付けの契約の締結の勧誘時、貸付けの契約締結時等、取引関係の見直し時等における説明をいう。

 

  A法令等を踏まえた契約に係る説明等の対応を行う態勢の構築
   社内規則等に則り、貸付けの契約に係る説明が的確に実施されているか。例えば、以下の点に留意する。
   イ. 貸付けの契約の締結の勧誘時
     a. 資金需要者等に対する勧誘状況及び過去の取引状況等について、 例えば、顧客カード(勧誘者リスト等、勧誘を行う基となった資料を含む。)を整備し、特に、被勧誘者から貸付けの契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)の表示の有無について、明確に記録されているか。
(注1)勧誘者リストの整備においては、II−2−14に記載した、信用情報の目的外利用に該当しないよう留意すること。
(注2)「勧誘」とは、電話や戸別訪問に限らず、電子メール、ダイレクトメールによるものを含む。

 

     b. 資金需要勧誘者等にを行った際、再勧誘を希望しない旨の意思表示があった場合は、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について資金需要者等に確認し、適切に記録しているか。なお、資金需要者等から、再勧誘を希望しない期間、商品の範囲について確認ができない場合には、勧誘を行った資金需要者等の属性や貸付商品の特性等に応じて再勧誘を希望しない期間等を個別に判断する必要があるが、一般的には、当該貸金業者が行う一切の勧誘について、少なくとも概ね3ヶ月間、再勧誘を希望しないと推定されるものと考えられる。

 

   ロ. 貸付けの契約の締結時等
     a. 貸付けの契約を締結しようとする場合は、契約内容を口頭で十分に説明することになっているか。口頭で十分な説明ができない場合は、例えば顧客等(資金需要者である顧客又は保証人となろうとする者をいう。以下同じ。)からの電話による問合せ窓口の設置や説明内容のホームページへの掲載等の補完的手段が講じられているか。貸金業者がインターネット等の口頭での説明が困難である手段を通じて貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等が貸金業者のホームページ上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする方法等で、顧客等が理解した旨を確認することにより、口頭による説明の代替措置が講じられているか。

 

     b. 契約の意思形成のために、資金需要者等の十分な理解を得ることを目的として必要な情報(商品又は取引の内容及びリスク等)を的確に提供することとし、特に以下の点に留意しているか。?保証人となろうとする者に当該保証契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、保証契約の形式的な内容にとどまらず、保証人の法的効果とリスクについて、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明(注)を行う)とともに、保証人となろうとする者が、十分な時間的余裕を持ってあらかじめ保証契約の内容及びこれに伴う危険性について十分理解した上で契約を締結することが可能な態勢となっているか。
(注)個別の契約内容に即し、相手方の理解力に応じた説明を行う必要があるが、例えば、以下の点について十分な説明を行う必要がある。

 

?保証人は、主たる債務者が債務を履行できない場合には、債務不履行額に遅延損害金を付した額(特約により主たる債務者が一部の債務不履行により残債務の一括返済を行わなければならなくなる場合は当該金額)のうちその保証の範囲内の額を支払わなければならなくなるおそれがあること。
また、経営に実質的に関与していない第三者と保証契約を締結する場合には、契約締結後、法第19条の2の規定に基づき、主たる債務者の弁済状況について貸金業者が保存する帳簿により確認することができること。
?経営に実質的に関与していない第三者と根保証契約を締結する場合には、契約締結後、保証人の要請があれば、定期的又は必要に応じて随時、被保証債務の残高・返済状況について情報を提供すること。
?保証人は、保証債務を履行できない場合には、強制執行により、財産を差押えられるおそれがあること。
?連帯保証人は、民法第452条に規定する催告の抗弁及び同法453条に規定する検索の抗弁が主張できないことや分別の利益がないことなど、通常の保証人とは異なること。

 

(注)「分別の利益」とは、複数人の保証人が存在する場合、各保証人は債務額を全保証人に均分した部分(負担部分)についてのみ保証すれば足りるという性質をいう。

 

?中小企業・小規模事業者等の経営者等(以下「経営者等」という。)との間で保証契約を締結する場合、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、以下の点について、主債務者と保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行うこととしているか(II−2−13−3(2)参照)。

 

   (i)保証契約の必要性
   (ii)原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること
   (iii)経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の 変更・解除等の見直しの可能性があること

 

?物的担保を徴求する場合、物的担保を提供する者が当該担保契約の内容を十分に理解しうるよう説明を尽くす(例えば、物的担保権が行使されうる場合等、物上保証の法的効果とリスクについて説明を行い、特に、物的担保契約の形式的な内容にとどまらず、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に物的担保権が行使されうる事態を想定した説明を行う)など、物的担保契約の内容を十分理解した上で契約を締結することとなっているか。

 

?いわゆる「おまとめローン」を目的とする契約を締結しようとする場合は、資金需要者等に対し、完全施行前の法第43条第1項のみなし弁済の適用に関する説明を行うとともに、必要に応じ、貸金業協会や消費生活センターなど適切な相談窓口を紹介しているか。

 

   ハ. 取引関係の見直し時等
    a. 法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更する場合その他債務者等にとって不利となる契約の見直しを行う場合
契約の変更箇所について説明を行うとともに、これまでの取引関係や、債務者等の知識、経験及び財産の状況を踏まえ、債務者等の理解と納得を得ることを目的とした説明態勢が整備されているか。

 

    b. 顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合
これまでの取引関係や、資金需要者等の知識、経験及び財産の状況に応じ可能な範囲で、謝絶の理由等についても説明する態勢が整備されているか。
例えば、長期的な取引関係を継続してきた顧客に係る手形貸付について更なる更改を謝絶する場合、信義則の観点から顧客の理解と納得が得られるよう、原則として時間的余裕をもって説明することとしているか。

 

    c. 経営者等から既存の保証契約の解除等の申入れがあった場合
「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、真摯かつ柔軟に検討を行うとともに、その検討結果について主債務者及び保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行う態勢が整備されているか(II−2−13−3(2)参照)。

 

特に、借り手企業の事業承継時においては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、前経営者が負担する保証債務について、後継者に当然に引き継がせるのではなく、必要な情報開示を得た上で、保証契約の必要性等について改めて検討するとともに、その結果、保証契約を締結する場合には、保証契約の必要性等について主債務者及び後継者に対して丁寧かつ具体的な説明を行う態勢が整備されているか。

 

また、前経営者から保証契約の解除を求められた場合には、前経営者が引き続き実質的な経営権・支配権を有しているか否か、当該保証契約以外の手段による既存債権の保全の状況、法人の資産・収益力による借入返済能力等を勘案しつつ、保証契約の解除についての適切な判断を行う態勢が整備されているか(II−2−13−3(2)参照)。

 

    d. 延滞債権の回収(担保処分及び個人保証の履行請求によるものを含む。)、企業再生手続(法的整理・私的整理)及び債務者等の個人再生手続等の場合

 

    (i) これまでの取引関係や、債務者等の知識、経験及び財産の状況に応じ、かつ、法令に則り、一連の各種手続を段階的かつ適切に執行する態勢が整備されているか。
    例えば、主債務者の経営に実質的に関与していない第三者の保証人に保証債務の履行を求める場合は、保証人が主債務者の状況を当然には知り得る立場にないことに留意し、事後の紛争等を未然に防止するため、必要に応じ、一連の各種手続について通知を行う等適切な対応を行う態勢となっているか。

 

    (ii) 手続の各段階で、債務者等から求められれば、その客観的合理的理由を説明することとしているか。

 

    (iii) 特に経営者保証における保証債務の履行に際しては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、保証人の手元に残すことのできる残存資産の範囲について、必要に応じ支援専門家とも連携しつつ、保証人の履行能力、経営者たる保証人の経営責任や信頼性、破産手続における自由財産の考え方との整合性等を総合的に勘案して決定する態勢となっているか(II−2−13−3(2)参照)。

 

 

  B内部管理部門等による実効性確保のための措置
   貸付けの契約に係る説明に関して、定期的な内部管理部門における当該説明を行った際の状況に関する記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等及び内部監査に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、貸付けの契約に係る説明の実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、貸付けの契約に係る説明の実効性が確保されているか。
(2)監督手法・対応

 

  検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の勧誘・説明態勢等の課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−12 利息、保証料等に係る制限等

 

 貸金業者は、利息制限法に規定する金額を超える利息の契約締結や受領、又はその支払を要求してはならない。
 利息、保証料等に係る制限等に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 

(1)主な着眼点
  @法令等を踏まえた社内規則等の整備
   社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、利息、保証料等に係る制限等を具体的に定めているか。

 

  A法令等を踏まえた利息、保証料等の制限等に係る実施態勢の構築
   イ. 役職員が社内規則等に基づき、利息、保証料等の制限等に係る取扱いを適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
   ロ. 貸付けに係る契約を締結するとき、以下の点に留意して、契約内容の確認等を行う態勢の整備がなされているか。
     a. 法第12条の8第2項に規定する「みなし利息」についても利息に含めて貸付けの契約を締結しているか。
     b. 法第12条の8第2項に規定する「契約の締結及び債務の弁済の費用」、施行令第3条の2の2に規定する「利息と見なされない費用」及び第3条の2の3に規定する「利用料」は、実費相当額(法令上の上限がある場合にはその範囲内)となっているか。
     c. 債務履行担保措置に係る契約を、債務履行担保措置を業として営む者と締結することを貸付けに係る契約の条件とする場合、当該債務履行担保措置の対価として支払われる金銭の額と利息を合算した金額が、利息制限法に規定する金額を超えないものとなっているか。
     d. 同一の債務者に追加的に貸付けを行うにあたっては、利息制限法の上限利率は、同法第5条に基づき、債務者の自社貸付残高に応じて変化することを踏まえ、利率を決定しているか。
     e. 保証業者と保証契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該保証契約を締結するまでに、当該保証業者への照会その他の方法により、当該保証業者と当該貸付けに係る契約の相手方又は相手方となろうとする者との間における保証料に係る契約の締結の有無及び当該保証料の額を確認しているか。
また、確認に関する記録を作成し、保存しているか。
    f. 施行規則第10条の13に規定する保証料に係る契約を、保証業者との間で締結することを貸付けに係る契約の締結の条件とはしない措置を講じているか。
    g. 保証業者と根保証契約を締結する際に、当該根保証契約が施行規則第10条の14に規定するものであるときは、当該根保証契約の締結をしない措置を講じているか。
    h. 金銭の貸借の媒介を行った貸金業者は、当該媒介により締結された貸付けに係る契約の債務者から当該媒介の手数料を受領した場合において、当該貸付けに係る契約の更新(施行規則第10条の15の規定を含む。)があったときは、これに対する新たな手数料を受領し、又はその支払いの要求をしない措置を講じているか。

 

  B内部管理部門等による実効性確保のための措置
   利息、保証料等に係る契約の締結等に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、態勢の見直しを行うなど、適正な利息、保証料等に係る契約の締結等その実効性が確保されているか。

 

(2)監督手法
  検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された貸金業者の利息・保証料の徴求に係る課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
 更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。
 なお、法第12条の8第1項、第3項及び第4項の規定により、出資法の上限金利を下回る金利帯であっても、利息制限法の上限金利を上回る利息の契約、受領又は支払の要求をした場合、行政処分の対象となることに留意する。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−13 過剰貸付けの禁止

 

 貸金業者は、過剰貸付けの抑制のために導入された、個人顧客の年収等から算定される当該個人顧客に係る基準額を超える貸付け等を原則禁止する総量規制(本監督指針において「総量規制」という。)を遵守することをはじめ、貸付けの契約を締結するに当たっては、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力を十分に調査する義務があり、調査の結果、その顧客等の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならない。
上記を踏まえ、貸金業者においては、過剰貸付けの防止のための適切な態勢を構築する必要がある。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−13−1 返済能力調査

 

 顧客等の返済能力調査(保証人となろうとする者の返済能力調査を含む。以下同じ。)に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 

(1)主な着眼点
  @共通事項
   イ.法令等を踏まえた社内規則等の整備
    社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、返済能力調査のための社内体制や方法等を具体的に定めているか。
   ロ.法令等を踏まえた返済能力調査の実施態勢の構築
    a.役職員が社内規則等に基づき、返済能力調査を適切に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
    b.社内規則等に則り、返済能力調査を適切に実施する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば以下の点に留意する。
     i )顧客の収入又は収益、保有資産、家族構成、生活実態などの属性を十分に調査・把握しているか。
     ii )借入申込書に借入希望額、既往借入額(例えば、他の貸金業者、銀行等からの借入れの額。以下同じ。)、年収額等の項目を顧客自身に記入させること等により、顧客の借入の意思を確認しているか。
     iii )物的担保を徴求する場合には、主債務者の属性、事業計画、当該貸付けの返済計画の条件等にかんがみて、当該担保物件を換価しなくても返済しうるか否かを確認しているか。また、担保権が実行され、当該担保物件を失うこととなった場合の物的担保提供者の具体的な認識を確認しているか。
     iv ) 保証を付した貸付けに係る契約を締結する場合には、主債務者の属性、事業計画、当該貸付けの返済計画の条件等にかんがみて、保証人からの代位弁済がなくとも返済しうるか否かを調査しているか。また、保証人となろうとする者について、収入又は収益、保有資産、家族構成、生活実態、既往借入額及びその返済状況等の調査を行い、実際に保証債務を履行せざるを得なくなった場合の履行能力及び保証人の具体的な認識を確認しているか。
     v ) 顧客等の返済能力の調査に関する記録について、法令に則り、また、必要に応じて、顧客等ごとに、適時・適切な作成・保存がなされているか。

 

   ハ.内部管理部門等による実効性確保のための措置
    返済能力調査に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて実施方法等の見直しを行うなど、返済能力調査の実効性が確保されているか。

 

  A個人向貸付けの調査に関する事項
   個人顧客を相手方として貸付けを行う貸金業者については、上記(1)マル1に加え、以下の態勢が整備されているか。
   イ.個人である顧客等との間で、貸付けの契約を締結しようとする場合又は極度方式基本契約の極度額を増額しようとする場合には、指定信用情報機関と信用情報提供契約を予め締結のうえ、同機関が保有する信用情報を使用して、顧客等の返済能力調査を行うこととしているか。
   ロ.個人顧客と極度方式基本契約を締結している場合には、法第13条の3第1項及び第2項の規定に基づく調査(以下「途上与信」という。)を適時・適切に行うこととしているか。
   特に、途上与信のうち定期的な調査(法第13条の3第2項の規定による調査)は、施行規則第10条の25第3項の規定により、新たな極度方式貸付けの停止措置を講じている場合(延滞以外を理由とする場合は、当該理由が合理的であり、かつ、当該措置を講じた旨、その年月日及び当該理由が法第19条の帳簿に、施行規則第16条第1項第7号に規定する「交渉の経過の記録」として記載されている場合に限る。)には課されないが、当該貸付けの停止措置を解除しようとする場合には、施行規則第10条の24第1項第2号の規定により、途上与信(法第13条の3第1項の規定による調査)を行わなければならないことに留意する必要がある。
   ハ.法第13条第3項本文各号のいずれか又は法第13条の3第3項本文に該当することを確認した場合には、当該個人顧客から、施行規則第10条の17第1項に規定される源泉徴収票その他の当該個人顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする書面等(以下「年収証明書」という。)の提出又は提供を適時・適切に受けているか。なお、年収証明書の提出を受けられないなど当該個人顧客の年収を把握できないときは、当該個人顧客の返済能力を確認できないことから、法第13条の2第1項により貸付けの契約(極度方式貸付けに係る契約を含む。)を締結できないことに留意する必要がある。また、事業所得について、直近の年を含む複数年の連続した期間の事業所得の金額を用いて基準額を算定する場合には、当該算定に用いたすべての年の年収証明書の提出又は提供を受ける必要がある。
   ニ.途上与信に関する記録について、法令に則り、また、必要に応じて、顧客等ごとに、適時・適切な作成・保存がなされているか。

 

(2)留意事項
 @共通事項
   イ.施行規則第10条の18第1項第4号に定める「顧客等の借入れの状況に関する調査結果」については、借入額のほか、借入件数、各貸付けに係る契約の内容(除外貸付・例外貸付となる契約であれば、その旨)等、調査の結果判明した「借入れの状況」に関するあらゆる事項を記録する。
   ロ.施行規則第10条の18第2項第1号に定める「当該貸付けに係る契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したとき」には、債権譲渡は含まれないと考えられる。

 

  A個人向貸付けに関する事項
   イ.施行規則第10条の17第1項各号に規定された各書面については、それぞれ下記の法令を根拠として交付されたものであれば、書面の名称の如何を問うものではない。
    a.源泉徴収票・・・・・・・・・所得税法第226条第1項
    b.支払調書 ・・・・・・・・・・所得税法第225条第1項
    c.給与の支払明細書・・・所得税法第231条
    d.確定申告書・・・・・・・・・所得税法第120条第1項、地方税法第317条の2第1項
    e.青色申告決算書・・・・・所得税法第143条
    f.収支内訳書 ・・・・・・・・・所得税法第120条第4項
    g.納税通知書 ・・・・・・・・地方税法第1条第1項第6号
    h.納税証明書 ・・・・・・・・地方税法第20条の10
    i.年金証書 ・・・・・・・・・・・国民年金法第16条、国民年金法施行規則第65条、厚生年金保健法施行規則第82条等
    j.年金通知書・・・・・・・・・所得税法第231条等

 

   ロ.施行規則第10条の17第1項第8号に規定される「所得証明書」には、例えば、以下のようなものが含まれる。
    a.根拠法令なく、行政サービスの一環として、地方公共団体が交付する所得・課税証明書
    b.当該個人顧客の勤務先が発行する所得証明書(ただし、当該勤務先の代表者その他の権限を有する者の記名・押印により真正であると認められるものに限る。)

 

(3)監督手法

 

  検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された返済能力調査に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−13−2 貸付審査

 

  貸付審査(貸付けに係る契約の締結に係る審査及び当該契約に係る保証契約の締結に係る審査をいう。以下同じ。)に関する貸金業者の監督に当たっては、例えば、以下の点に留意する必要がある。

 

(1)主な着眼点
  @共通事項
   イ.法令等を踏まえた社内規則等の整備
    社内規則等において、法令及び協会の自主規制規則等を踏まえ、貸付審査のための社内体制や客観的かつ具体的な貸付基準を定めているか。
    特に、経営者等と保証契約を締結する場合においては、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、適切な保証金額の設定を行っているか(II−2−13−3(2)参照)。

 

   ロ.法令等を踏まえた貸付審査の実施態勢の構築
    a.役職員が貸付基準に基づき、貸付審査を的確に行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
    b.貸付基準に則り、貸付審査を的確に実施する態勢が整備されているか。検証に当たっては、例えば以下の点に留意する
     i ) 保証人や物的担保(※)を徴求する貸付けにおいて、主債務者自身の返済能力ではなく、保証の履行や担保権実行を主な回収の手段とする貸付けの契約の締結を防止する措置が講じられているか。また、保証人及び物的担保提供者の適格性審査について明確な基準が整備されているか。
(※)予めその不動産その他の物的担保の売却代金により弁済される予定であることが客観的に明らかな貸付けを除く。
     ii ) 指定信用情報機関が保有する信用情報を使用する場合において、顧客等に係る信用情報の照会が同機関に対して同日中に繰り返し行われているなど借回りが推察される場合には、より慎重な貸付審査を行うなど、過剰貸付けの防止に努めているか。

 

   ハ.内部管理部門等による実効性確保のための措置
     貸付審査に関して、内部管理部門における定期的な点検や内部監査を通じ、その実施状況を把握・検証しているか。また、当該検証等の結果に基づき、必要に応じて貸付基準の見直しを行うなど、貸付審査の実効性が確保されているか。

 

  A個人向貸付けの貸付審査に関する事項
   個人顧客を相手方として貸付けを行う貸金業者については、上記(1)マル1に加え、以下の態勢が整備されているか。
   イ.個人顧客の基準額及び当該個人顧客に係る個人顧客合算額又は極度方式個人顧客合算額の各算定方法、並びに当該基準額の超過により、個人過剰貸付契約又は基準額超過極度方式基本契約に該当する場合の対応方法等が貸付基準において明確に定められているか。

 

   ロ.極度方式貸付けに係る貸付けの返済を銀行等口座の引き落としにより受けている場合には、その返済期日において返済(引落)の事実を確認する前に追加貸付けを行うことにより総量規制を上回る貸付けをしない措置を講じているか。

 

   ハ.法第13条の2第2項に規定される住宅資金貸付契約等(本監督指針において「除外貸付」という。)について、その要件に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。例えば、返済能力調査等により得られた情報その他貸金業者自ら保有する情報を総合的に勘案して、提出を受けた書面(施行規則第10条の21第2項各号に掲げる書面を含む。)の信ぴょう性・妥当性を通常の注意義務をもって確認しているか。

 

   二.除外貸付に該当する契約を締結した場合における施行規則第10条の21第2項に掲げる書類等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

 

   ホ.法第13条の2第2項及び法第13条の3第5項に規定される個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるもの(本監督指針において「例外貸付」という。)について、その要件に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。例えば、返済能力調査等により得られた情報その他貸金業者自ら保有する情報を総合的に勘案して、提出を受けた書面(施行規則第10条の23第2項各号に掲げる書面を含む。)の信ぴょう性・妥当性を通常の注意義務をもって確認しているか。

 

   へ.施行規則第10条の23第1項第3号に定める貸付けに係る契約及び施行規則第10条の28第1項第2号に定める極度方式基本契約(以下「配偶者貸付契約」という。)を締結している個人顧客の配偶者を相手方として、貸付けに係る契約を締結する場合又は極度方式基本契約を締結している場合において、施行規則第10条の23第3項に定める要件に該当するかどうか又は施行規則第10条の28第2項及び第3項に定める「配偶者合算基準額超過極度方式基本契約」に該当するかどうかを適切に検討・判断しているか。

 

   ト.例外貸付に該当する契約を締結した場合における施行規則第10条の23第2項に掲げる書類等について、法令に則り、適切な保存がなされているか。

 

(2)留意事項
  @法第13条の2第2項に規定する年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額は、施行規則第10条の22第2項に基づき、年収証明書に記載された事項を用いて算出されるが、法第13条第3項又は法第13条の3第3項において、貸金業者が年収証明書の提出又は提供を受ける必要がない場合は、個人顧客が自ら年収証明書の記載事項を基にこれを算出し、申告することとなる。

 

  A施行規則第10条の21第1項第1号における「不動産の改良に必要な資金の貸付けに係る契約」には、当該不動産を担保としない契約も含まれる。 

 

  B施行規則第10条の21第1項第5号における「有価証券の購入」には、新株予約権の権利行使による取得も含まれる。

 

  C配偶者貸付契約を行うために配偶者の同意書を取得する場合には、当該同意が真正なものであるか否かについて、慎重に判断する必要がある。   

 

  D施行規則第10条の23第1項第2号の2に定める「特定緊急貸付契約」である極度方式基本契約については、施行規則第10条の24第1項第1号において定める「1月ごとの期間」における極度方式貸付けの当該期間内の実行額及び当該期間末日の残高がいずれも零を超える場合に、途上与信が必要となる。

 

  E施行規則第10条の23第2項第3号における「事実上の婚姻関係と同様の事情にあることを証明する書面」とは、住民票(続柄に、「夫(未届)」、「妻(未届)」など未届の配偶者である旨の記載があるもの)を指す。

 

  F施行規則第10条の23第1項第4号に基づき、個人顧客から提出を受ける「事業計画」、「収支計画」及び「資金計画」については、協会の自主規制規則等も踏まえ、当該個人顧客の返済能力を合理的・客観的に確認するために必要な事項の記載があれば、必ずしも各計画が形式的に独立していることを要しない(施行規則第10条の23第1項第5号、施行規則第10条の28第1項第3号及び第4号について同じ)。

 

  G施行規則第10条の23第2項第6号ロに定める「照会の結果を記載した書面」には、例えば、照会を行った担当者の氏名・所属部署、照会を行った日時・手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)、照会の相手方(正規貸付けを行う者)の商号又は名称、応答者の氏名・所属部署・電話番号等の連絡先、及び応答者の回答内容(正規貸付けの予定金額・予定実行日を含む。)等を記載する必要がある。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−13−3 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等

 

 (1)意義
  中小企業・小規模事業者等(以下「中小企業」という。)の経営者による個人保証(以下「経営者保証」という。)には、中小企業の経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や創業を志す者の起業への取組み、保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、経営者保証の契約時及び履行時等において様々な課題が存在する。
 こうした状況に鑑み、中小企業の経営者保証に関する中小企業、経営者及び金融機関(貸金業者を含む。以下II−2−13−3において同じ。)による対応についての自主的自律的な準則として「経営者保証に関するガ イドライン」(以下「ガイドライン」という。)が定められた。
このガイドラインは、経営者保証における合理的な保証契約の在り方等を示すとともに主たる債務の整理局面における保証債務の整理を公正かつ迅速に行うための準則であり、中小企業団体及び金融機関団体の関係者が中立公平な学識経験者、専門家等と共に協議を重ねて策定したものであって、主債務者、保証人及び対象債権者によって、自発的に尊重され、遵守されることが期待されている。
金融機関においては、経営者保証に関し、ガイドラインの趣旨や内容を十分に踏まえた適切な対応を行うことにより、ガイドラインを融資慣行として浸透・定着させていくことが求められている。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−14 個人信用情報の提供等

 

 指定信用情報機関と信用情報提供等契約を締結した貸金業者については、法第41条の35第2項の規定により個人信用情報(法第2条第14項に規定する個人信用情報をいう。以下同じ。)の遅滞ない提供が義務づけられている。また、当該貸金業者又はその役職員は、法第41条の38第1項の規定により、返済能力等調査以外の目的で、指定信用情報機関に信用情報の提供を依頼し、又は指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を使用し、若しくは第三者に提供すること(以下「信用情報の目的外使用等」という。)が禁止されている。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−15 広告規制

 

 広告規制に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
(1)主な着眼点
  不適切な広告の防止など、広告の取扱いに関する規定を規定した社内規則等を定め、担当役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

 

(2)留意事項
  @法第15条第1項に規定する「貸付けの条件について広告をする」とは、法第15条第1項第2号、施行規則第12条第1項第1号及び第2号に掲げる事項(担保の内容が貸付けの種類名となっている場合にあっては、施行規則第11条第3項第1号ロの「担保に関する事項」には当たらない。)又は貸付限度額、その他の貸付けの条件の具体的内容を1つでも表示した広告をすることをいう。
  A法第15条第2項に規定する「広告」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、ある事項を随時又は継続して広く宣伝するため、一般の人に知らせることをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
   イ. テレビコマーシャル。
   ロ. ラジオコマーシャル。
   ハ. 新聞紙、雑誌その他の刊行物への掲載。
   ニ. 看板、立て看板、はり紙、はり札等への表示。
   ホ. 広告塔、広告板、建物その他の工作物等への表示。
   ヘ. チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の配布。
   ト. インターネット上の表示。

 

  B施行規則第12条第4項に規定する「多数の者に対して同様の内容で行う勧誘」とは、個別の具体的内容に応じて判断する必要があるが、特定の名あて人に対して、同様の内容のものを送付することをいい、例えば、次に掲げるものをいう。
   イ. ダイレクトメール、チラシ、カタログ、パンフレット、リーフレット等の送付。
   ロ. 電子メールの送信。

 

  C法第16条第2項第3号に規定する「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」に該当するかどうかは、個別具体的な事実関係に即して判断する必要があるが、例えば、次のような表示がある場合には、これに該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。
   イ. 貸付審査を全く行わずに貸付けが実行されるかのような表現。
   ロ. 債務整理を行った者や破産免責を受けた者にも容易に貸付けを行う旨の表現。
   ハ. 他社借入件数、借入金額について考慮しない貸付けを行う旨の表現。

 

  D III −3−7の規定により、非協会員から提出された広告に関する資料等については、協会の自主規制規則を勘案した検証を行い、不適切な広告を確認した場合は、協会員との衡平性を確保しつつ、資金需要者等の利益の保護等の観点から速やかに適切な対応を行うものとする。

 

(3)監督手法
  検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された広告等に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−16 書面の交付義務
 書面交付義務に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
(1)主な着眼点
  @資金需要者等に対する書面交付に関して規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
(注)完全施行後の「資金需要者等に対する書面交付」には、次の書面交付が追加されることに留意する。
?法第16条の2に規定する契約締結前の書面を貸付けに係る契約の締結までに保証人に加え当該契約の相手方になろうとする者にも交付すること。
?取引関係を見直すことにより、法第17条第1項から第5項に規定する「重要なものとして内閣府令で定めるもの」を変更した際は、法第17条に規定する書面を契約の相手方および保証人がいる場合には当該保証人に交付すること。

 

  A内部管理部門等において、社内規則等に基づき、適正な書面の交付が行われているか検証を行う態勢が整備されているか。

 

  B書面の記載内容は、資金需要者等にとって明確でわかり易い内容となっているか、また、記載内容について、必要に応じ見直す態勢が整備されているか。
   極度方式基本契約に基づく個々の貸付けに係る法第17条書面の各記載事項については、契約書と同一文言での記載になっていない場合、必要な事項が明確かつわかり易く記載されているか。

 

  C一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面の交付に際しては、当該書面が交付される旨及び個別書面の記載事項が簡素化される旨を示したうえで、あらかじめ書面又は電磁的方法により承諾を得ているか。なお、債務者等から電磁的方法により承諾を受けた場合には、当該承諾を行った債務者等に対し、承諾を受けた旨を書面又はその他適切な方法により通知しているか。また、債務者等から、当該書面での交付の承諾を撤回したい旨の意思表示があった場合、当該書面以外の方法による書面交付の適用開始の時期等について、適切な説明が行われているか。

 

  D書面の交付に代えて電磁的方法により提供する場合又は一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面を交付することについて承諾若しくは撤回の意思表示を受ける場合には、債務者等の承諾等があったことを記録しているか。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−17 帳簿の備付け等

 

  帳簿の備付け等に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

 

 

(1)主な着眼点
  @帳簿の作成及び備付け等について規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

 

  A債務者以外の者(保証人を含む。)から返済金を受領した場合、当該返済者と債務者との関係や当該返済者が返済するに至った経緯等について、交渉経過の記録等に正確に記載され、担当者以外の第三者がその内容を容易に把握できる態勢が整備されているか。

 

  B内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、正確な帳簿の作成及び保存が履行されるための態勢が整備されているか。

 

   イ. 交渉の相手方(債務者、保証人等の別)。
   ロ. 交渉日時、場所及び手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)。
   ハ. 交渉担当者(同席者等を含む)。
   ニ. 交渉内容(催告書等の書面の内容を含む)。
   ホ. 施行規則第10条の25第3項第3号に規定する極度方式基本契約に基づく新たな極度方式貸付けの停止に係る措置を講じている場合、当該措置を講じた旨、年月日及びその理由。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−18 帳簿の閲覧、謄写

 

 帳簿の閲覧又は謄写に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
(1)主な着眼点
  @債務者等又は債務者等であった者(以下「帳簿の閲覧等の請求者」という。)から帳簿の閲覧又は謄写を求められた際の対応について、帳簿の閲覧等の請求者が本人又は正当な委任を受けた代理人等であるか確認したうえで、過度の負担を課すことなく迅速に帳簿の閲覧又は謄写に応じるよう社内規則等を定めているか。なお、本人又は正当な委任を受けた代理人等であるかの確認及び閲覧又は謄写の方法に関し、正当な理由なく過度な負担を課す場合は、帳簿の閲覧又は謄写の拒否に該当するおそれがあることに留意する必要がある。

 

  A帳簿の閲覧又は謄写に必要な物的設備を確保し、閲覧又は謄写の方法等が帳簿の閲覧等の請求者にわかるようになっているか。また、帳簿の閲覧等の請求者から帳簿の閲覧又は謄写に関する問合せ等があった場合、迅速かつ適切に対応できる態勢となっているか。

 

  B無人契約機やインターネットなど、対面以外の方法で契約の締結等を行う貸金業者については、帳簿の閲覧等の請求者が遠隔地に居住するなど来店が困難である場合に際して、帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているか。帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか。また、帳簿の閲覧又は謄写の請求者から当該実費の内容について説明を求められた場合、その内容を説明する態勢が整備されているか。

 

  C内部管理部門において、社内規則等に基づき、帳簿の閲覧等の請求者に対し適切な帳簿閲覧又は謄写が行われているか検証する態勢が整備されているか。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−19 取立行為規制

 

 取立行為に関する貸金業者の監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。
(1)主な着眼点
  @債務者等に対する取立て・督促については、客観的な基準及び手順等を規定した社内規則等を定め、役職員が社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。

 

  A内部管理部門においては、交渉経過の記録等の確認や担当者からのヒアリングの実施等に加え、必要に応じ、例えば、録音テープの確認や資金需要者等と直接面談等を行うことにより、取立て・督促の実態を把握し、検証を行うことができる態勢が整備されているか。

 

(2)留意事項
  @法第21条第1項各号の規定は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」の例示であり、個々の取立て行為が同項に該当するかどうかは、個別の事実関係に即して判断する必要がある。当該規定に定める事例のほか、例えば、次のような事例は、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。
   イ. 反復継続して、電話をかけ、電報を送達し、電子メール若しくはファクシミリ装置等を用いて送信し又は債務者、保証人等の居宅を訪問すること。
   ロ. 保険金による債務の弁済を強要又は示唆すること。

 

  A法第21条第1項第1号、第3号及び第9号に規定する「正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。
   イ. 法第21条第1項第1号
    a. 債務者等の自発的な承諾がある場合。
    b. 債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合。

 

   ロ. 法第21条第1項第3号
    a. 債務者等の自発的な承諾がある場合。
    b. 債務者等と連絡をとるための合理的方法が他にない場合。
    c. 債務者等の連絡先が不明な場合に、債務者等の連絡先を確認することを目的として債務者等以外の者に電話連絡をする場合。なお、この場合においても、債務者等以外の者から電話連絡をしないよう求められたにも関わらず、更に電話連絡をすることは「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当するおそれが大きい。

 

   ハ. 法第21条第1項第9号
    a. 弁護士若しくは弁護士法人又は司法書士若しくは司法書士法人(以下「弁護士等」という。)からの承諾がある場合。
    b. 弁護士等又は債務者等から弁護士等に対する委任が終了した旨の通知があった場合。

 

  B法第21条第1項第2号に規定する「その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものであるが、例えば、以下のようなものが該当する可能性が高い。
   イ. 債務者等からの弁済や連絡についての具体的な期日の申し出がない場合。
   ロ. 直近において債務者等から弁済や連絡に関する申し出が履行されていない場合。
   ハ. 通常の返済約定を著しく逸脱した申出がなされた場合。
   ニ. 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が申出内容に反して他社への弁済行為等を行った場合。
   ホ. 申出に係る返済猶予期間中に債務者等が支払停止、所在不明等となり、債務者等から弁済を受けることが困難であることが確実となった場合。

 

  C法第21条第1項第5号は、債務者等に心理的圧迫を加えることにより弁済を強要することを禁止する趣旨であり、債務者等から家族に知られないように要請を受けている場合以外においては、債務者等の自宅に電話をかけ家族がこれを受けた場合に貸金業者であることを名乗り、郵送物の送付に当たり差出人として貸金業者であることを示したとしても、直ちに該当するものではないことに留意することとする。

 

  D法第21条第1項第6号に規定する「その他これに類する方法」とは、クレジットカードの使用により弁済することを要求すること等が該当すると考えられる。

 

  E法第21条第1項第9号に規定する「司法書士若しくは司法書士法人」に委託した場合とは、司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士に委任した場合をいう。

 

  F法第21条第2項に規定する支払を催告するための書面又はこれに代わる電磁的記録については、次によるものとする。
   イ. 法第21条第2項第1号に規定する「住所」及び「電話番号」については、それぞれ、当該債権を管理する部門又は営業所等に係るものを記載すること。
   ロ. 法第21条第2項第2号に規定する「当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名」については、当該債権を管理する部門又は営業所等において、当該債権を管理する者の氏名を記載すること。

 

  G貸金業者以外の者が貸付けた債権について、貸金業者が、保証契約に基づき求償権を有する場合(保証履行により求償権を取得した場合を含む)、その取立てに当たっては、法第21条が適用され得ることに留意する。

 

(3)監督手法・対応
  検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された取立行為に関する課題等については、上記の着眼点に基づき、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。
更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反行為が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(行政処分を行う際に留意する事項は III −5−1による)。

 

 債務整理,自己破産,任意整理,過払い,貸金業者 II −2−20 債権譲渡等

 

 貸金業者の貸付債権の譲渡については、法令を遵守するほか、民法や債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号)等の規定に留意し、適切に対応する必要があり、債権譲渡先の選定に当たっては、資金需要者等の利益の保護に関して、特段の注意を払う必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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