会計限定監査役の登記手続き

会計限定監査役の登記手続き

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会計監査役の登記手続き

株式会社の監査役について,平成27年5月1日より,「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」が登記事項に加わりました(会社法第911条第3項第17号イ)。

 

 上記の日以降は,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め(以下「会計限定監査役の定め」といいます。)がある株式会社は,その旨を登記しなければならないことになりました。

 

 株式会社の監査役には,2の監査があり,@業務監査(取締役の業務執行が法律や定款の定めに従って行われているかや著しく不当な行為をしていないかの監査)と,A会計監査(会社の作成する計算書類等が適正に処理されているかの監査)を職務として行わなければなりません。

 

 そして,全ての株式において譲渡制限の定めのある会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は,監査役の権限を会計完済に限定することができます。

 

 具体的に,この改正によって,会計限定監査役の定めがある株式会社は,平成27年5月1以降に,「就任又は再任した監査役」について,その役員変更登記を申請する際には,併せて「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨を登記しなければなりません。

 

 特例有限会社の監査役については,当然に,会計限定監査役の定めがあるものとみなされますので,この登記をする必要はありません。

 

改正前の登記事項

  監査役      千 葉 太 郎

 

平成27年5月1日就任
平成27年5月1日登記

 

改正後(平成27年5月1日以降)の登記事項

 監査役      千 葉 太 郎

 

平成27年5月1日就任
平成27年5月1日登記
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある  
平成27年5月1日登記


会計限定監査役登記が必要となる場合

それでは,具体的に,どのような条件にある会社が,どのような添付書面をもって登記申請をするのでしょうか。

 

1 平成18年4月30日以前(会社法施行前に設立された株式会社の場合で,

 

 @資本金の額が1億円以下である(平成18年5月1日当時,資本金の額が1億円以下であり,かつ,最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円未満)。

 

 A株式の全部に譲渡制限の定めがある(平成18年4月30日以前から現在までの間)。

 

 B監査役の監査の範囲について,定款を変更していない(平成18年4月30日以前から現在までの間)。

 

 C監査役会及び会計監査人を設置していない。

 

 以上の条件に該当する株式会社は,「会計限定監査役の定めが記載された定款又は次のとおりの証明書」を添付して,登記申請をする必要があります。

 

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあることを証する書面

 

 当会社は,平成18年5月1日当時,現に資本金の額が1億円以下であり,最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円未満である株式会社であったことから,会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第53条の規定により,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるとみなされており,その後現在に至るまで当該定款の定めの設定又は廃止に係る株主総会の決議をしておらず,当該みなされた事項を定款に反映していないため,定款又は株主総会の議事録を添付することができませんが,当会社は当該定款の定めがあるとみなされた株式会社であることを証明します。

 

平成 年 月 日

 

       本店
       商号
        代表取締役           印

 

 なぜかというと,上記の条件を満たす会社は,実際の定款には「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」が定められていなくても,その旨の定めがあるものとみなされているからです。

 

2 平成18年5月1日(会社法施行日)以降に設立された株式会社又は平成18年4月30日以前に設立された株式会社で,かつ,会社法施行日(平成18年5月1日)以降に,株式の譲渡制限の定めを設けた株式会社の場合で,

 

 @株式の全部に譲渡制限の定めがある。

 

 A監査役会及び会計監査人を設置していない。

 

 B会計限定監査役の定めがある。

 

 以上に条件に該当する株式会社は,「会計限定監査役の定めが記載された定款又は当該定めを決議した株主総会議事録」を添付して,登記申請をする必要があります。

 

3 登記申請時期
 平成27年5月1日以降,最初に監査役の就任,重任又は退任の登記を申請する際に,行う必要があります。

登記の事由及び登記すべき事項

本改正前から会計監査限定の定めがある場合

 

・登記の事由
 「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」
・登記すべき事項(別紙記載)
 「役員に関する事項」
 「資格」監査役の監査の範囲に関する事項
 「役員に関するその他の事項」
 「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」
  (原因や年月日は,登記されません。)

 

 

(参考)
 今後,設立登記で監査役を設置する場合(別紙記載)は,
 「役員に関する事項」
 「資格」監査役
 「氏名」法務花子

 

 「役員に関する事項」
 「資格」監査役の監査の範囲に関する事項
 「役員に関するその他の事項」
  監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある
 「監査役設置会社に関する事項」
  監査役設置会社

登録免許税

申請1件につき1万円(ただし,資本金が1億円を超える場合は3万円)

 

 ※ 登録免許税法上,税額区分が,役員変更と同一区分のため,他の役員変更と同時に登記申請した場合は,1件分の1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)で足ります。

 

 例) 監査役の重任登記と一緒に,会計監査限定の定めを登記申請した場合は,監査役の重任登記1万円と会計限定監査役の定めの登記1万円の合計2万円が必要となるのではなく,併せて合計1万円で足りることになります。

その他

「取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の登記」がされている場合で,「会計限定監査役の定めの登記」をする場合には,「取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の登記」を廃止又は抹消が必要となる場合があります。

経過措置

会社法改正前より会計限定監査役の定めがあった株式会社は,平成27年5月1日以降にはじめて就任または退任する監査役の登記とあわせて行えばよいとされています。

 

 会社法改正後に定款変更をして,会計監査限定の定めを設定した場合には,原則どおり変更が生じた日から2週間以内に登記しなければなりません。

 

改正会社法(附則)第22条
(監査役の監査の範囲の限定等に係る登記に関する経過措置)
 この法律の施行の際現に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は,この法律の施行後最初に監査役が就任し,又は退任するまでの間は,新会社法第911条第3項第17号イに掲げる事項の登記をすることを要しない。

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