相続は,誰しもが経験をすることですが,やらなければならない手続きがたくさんあって,何から初めてよいか迷われている方も多いと思います。
インターネットの普及で「相続手続き」と検索するとかなりの数のWEBサイトが出てきて,さらに,司法書士,行政書士,弁護士,税理士など依頼先もたくさんあって迷われる方が相当数おられると思います。
また,相続や遺言に関する書籍が書店でも多く販売されていて,手に取って読まれたり,実際に購入された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
色々お調べになっていかがでしたでしょうか?
相続は,それぞれの事情や内容によって異なるものです。
インターネットや書籍で問題が解決され,相続手続きを無事に進めることができたら,それに越したことはありませんが,もし,まだ迷われていたり,手続の途中で挫折をしたり,調べてもよく分からないといったことがあれば,私どもに相談してみませんか?
相続に争いがなければ,遺言に関することから遺産分割協議,各種名義変更までその多くの手続きを一括して行えるのは司法書士です。
特に,不動産に関する手続きは複雑で名義変更は,一般的に司法書士が行うことが多い業務です。
そのため,相続財産の中に不動産がある場合は司法書士に頼んだ方が余計な手間がかかりません。
当事務所は公平中立な立場で遺産分割協議の成立を支援いたしますので,相続についてわからないことがある方はぜひ一度ご相談ください。
相続手続きを開始するにあたり関連する概要やその意味について説明したいと思います。
相続と一言で言っても,やらなければならないことや検討しなければならないことがたくさんあります。
まずは,基本的なポイントを押さえましょう。
行う手続き |
概 略 |
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戸籍の収集 |
相続手続きを開始する上で,必要不可欠なものが,お亡くなりになられた方の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍)謄本の収集です。 これは,お亡くなりなられた方の相続人(子¥親・兄弟姉妹等)を確定するために,集めなければなりません。本籍地の市区町村で取得することになります。 |
相続人確定 |
集めた戸籍(除籍)謄本等によって,相続人を確定させます。 |
遺言書の確認 |
遺言書の有無によって,相続割合が異なってきます。自筆証書遺言の場合,家庭裁判所で検認の申立てをしなければなりません。自筆証書遺言の開封は家庭裁判所で行うことになります。 |
遺産目録作成 |
遺産をまとめます。遺産分割協議の資料ともなりますし,負債の方が明らかに大きい場合には,相続放棄を検討します。 |
遺産分割協議 |
相続人全員で遺産について分割方法を話し合います。一堂に会する必要はありません。全員が合意すれば持ち回りで署名・押印が可能ですが,全員の実印と印鑑証明書が必要になります。 |
不動産登記 |
不動産の名義を法定相続分によって,または遺言に従って,あるいは遺産分割協議の内容に従って変更します。期限の制限はありませんが,時間が経過すると権利関係が複雑になるため,早めに手続きをした方がよろしいでしょう。 |
商業登記 |
会社代表者等の場合は,商業・法人登記の役員変更登記が必要です。こちらは,2週間以内に登記を行う必要があります。取締役会設置会社の場合で,3名しか取締役がいない場合,候補者の選定や,取締役会の廃止などの検討も必要になります。 |
預貯金 |
金融機関に死亡の事実が知られると,被相続人の預貯金口座は凍結され,引き出しができなくなります。早めに相続手続きをする必要があります。 |
生命保険 |
被相続人が保険契約者であったり,被保険者であった場合,その手続きを行う必要があります。保険契約の内奥によって,相続財産として分ける必要があるものと,固有の財産として受取人が受領するものとがあります。 |
有価証券 |
株券,債券,投資信託などの相続手続きが必要となります。特定口座がない場合には,口座を開設した後に解約等の手続きが必要になる場合があります。 |
相続税申告等 |
基礎控除を超える遺産がある場合,相続税の申告手続きが必要となります(10か月以内)。また,被相続人が個人事業主であった場合(家賃収入があった大家さんも含む)には,4か月以内に準確定申告を行う必要もあります。 |
家庭裁判所 |
相続人に未成年者,判断能力の低下した方,相続放棄をする場合,限定承認をする場合などは家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。 |
債務整理 |
被相続人に借金があったで,相続放棄を選択しない場合には,債務を相続することになります。家族に内緒にした債務もあるため,債務の調査も場合によっては必要となります。 |
遺言をした方がよい例 | 遺言のメリット |
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1.自分の財産の処分は自分で決めたい 2.子や親が既に他界している 3.内縁関係にある者がいる 4.相続で揉めそうである 5.事業承継者に多く残したい 6.ペットの世話をしてほしい 7.障がいを持った子がいる 8.相続人が誰もいない 9.遺産が不動産だけである 10.前妻(夫)との間に子がいる 11.相続人に音信不通の者がいる ≫詳細ページ |
1.相続手続きがスムーズ 2.遺産分割協議が不要 3.相続人以外の者に遺産を渡すことができる 4.家庭裁判所での検認手続不要(公正証書の場合) 5.最後の意思を遺せる 6.何度でも書き直しができる 7.司法書士に依頼すれば遺言執行者になってもらえる ≫詳細ページ
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相続登記をするか・しないかは,あなた次第で,いつまでにしなければならないという期間制限は,今の所ありません。
しかし,放置しておくと色々な問題が出てくるのも事実です。
メリットとデメリットをご理解いただき,後世のために適切な対応をされることを望んでおります。
デメリット
不動産を売却することができない。
不動産を担保に融資を受けることができない。
時間の経過と共に良好な親族に変化が出てくる。
時間の経過と共に,権利関係者(相続人)が増えてしまい,まとまるものもまとまらなくなる。
相続人の中に行方不明者が出て,手続きが今よりも面倒になる。
時間の経過により,相続人に認知症を発症され,後見人等の申立てをする必要が出てくる。
相続人の一人に借金などがあって持分を差し押さえられる可能性が出てくる。
固定資産税等の分担の問題が生じる。
賃貸物件(アパート等)の場合,賃料収入の配分で争いになる場合もある。
空き家になるなどして管理が不十分となり,所有者責任を負う可能性も出てくる。
権利を主張する第三者が現れた場合,対抗できない場合があり得る。
登記する際のデメリット
相続登記は,ご自身で行うことも可能です(本人申請)が,時の経過と共に,必要書類が増えていったり,書類を集めるのに多くの時間が掛かることも想定されます。
遺産分割協議も,関係者が増えればそれだけコストもかかってしまいます。
登記をする際,登録免許税が避けて通れない出費となりますが,これは必要経費と考え,今できるうちに相続登記を行っておくことが,結局は,最小の労力で,多くの費用を要さない一つの方法でもあるのです。
上記のとおり,期限はありませんが,自身の権利を護るためと,先代の遺志を繋いでいくためにも,登記上の名義人は明確にしておくことをお勧めいたします。
これを書いている時期は,上記のように相続登記に期限もありませんし,相続分の指定による不動産の権利の取得については,登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるという判例があり,また,相続させる旨の遺言があれば,特段の事情がない限り,「遺産分割方法の指定」があったものとして,遺産分割の効果を認め,その遺言によって不動産を取得した者は,登記なくして第三者に対抗できるというのが判例の立場でした。
しかし,改正された民法第899条の2第1項によれば,これとは異なり,「相続による権利の承継は,遺産の分割によるものかどうかにかかわらず,次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については,登記,登録その他の対抗要件を備えなければ,第三者に対抗することができない。」として,新法では,法定相続分を超える権利の承継については,第三者対抗要件,つまり,登記,登録等を要するとしています。
したがって,折角遺言を書いても,登記等を放置しておくと,その遺言が遺言内容通りに実現しない場合もあり,何のために遺言を書いたのか分からなくなります。
そうならないためにも,相続登記は直ぐに行う必要が出てきました。