折り込みチラシ、ダイレクトメール、電話勧誘、新聞、週刊誌、電信柱等へのビラ貼り広告やインターネット宣伝その他の方法により、甘い罠を張り廻らし、さも「これで貴方は救われるんだ」という救いの手を差し伸べるているかのように誘い、多重債務者を更なる窮地に陥れようと企てている悪質業者が多数存在しますので注意してください。
このような業者の全てが全部そうだとはいいませんが、高い確率で悪質のものが多いのが現状です。そのような業者は、破産宣告を受け各情報機関に事故者として扱われているにもかかわらず、「貴方の審査はパスしました」とか「特別ご融資の件」等をうたい文句にさらなる貸付を目論んでいます。
顧客名簿の横流しにより、ダイレクトメールに関しては、数十社から送りつけられその甘い言葉にのまれる方もいますが、絶対にその様なところからの借り入れなどは厳禁してください。それを利用して良かったという人はいないのですから。
また、近年ネット上でもさまざまのホームページが立ち上がっておりますが、中には匿名で誰が運営しているのか、どういう対策方法を取ってくれるのか記載せず、単に多重債務からの脱却などの見出しが散見できます。身元のはっきりしないところへの相談は慎重におこなってください。いずれにしても甘い言葉にはくれぐれも注意して、それを利用するか、しないかは専門家に相談してからでも遅くはないでしょう。
換金屋…債務者の所有するクレジットカードを利用して、債務者に高額商品(パソコン、ビデオカメラ、ブランドバッグ等の換金性の高いもの)をそのカードで購入させ、換金屋が半額程度でその品物を買い取る仕組みである。
当然債務者は商品代全額をクレジット会社に支払わなければならない債務が残ります。整理屋…借金を一本化手続を口実に、弁護士の肩書きなどを借り、債務者を安心させ、手数料をだけをとり、そのまま放置する。
債務者は借金の整理が順調に進んでいると思い、毎月指定振込先に返済金を入金するが、整理屋の手数料が高額なため整理案通りの返済ができていない場合が多い。紹介屋…多重債務でいわゆるブラックリストに載っている債務者に新しい借入先を紹介するなどと称し、借り入れをさせ、法外の手数料を巻き上げる。紹介屋は融資仲介の働きはせず、単に紹介するのみである。
問題商法の種類 |
主な業務内容 |
主な勧誘方法 |
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内職商法 |
パソコン作業・宛名書き・チラシ配布・パソコン関連資格講座・教材の購入等 |
誰でもできる在宅ビジネス |
キャッチセールス |
化粧品・エステ・美顔具販売・絵画・貴金属類・健康食品等 | 駅や繁華街などの路上でアンケート等と呼び止めて言葉巧みに喫茶店や営業所に連れて行き,軟禁状態にして契約を執拗に迫る |
アポイントメント商法 |
貴金属・絵画・リゾート会員権・ビデオ教材・パソコン等 | 突然電話をかけてきて,「当選しました」「1000人の中から選ばれました」「貴方だけの特別情報」などと偽って営業所等に呼び出して商品購入や不要なサービスの提供を迫る |
資格商法 |
行政書士や宅建主任者などの国家資格や民間資格などを取得するための講座や教材 | 「今なら特別優遇」「今後国家資格になる予定だが今なら研修だけで資格が取れる」などと不況で資格をほしい方をターゲットに高額な教材を売りつける |
マルチ商法 |
日用雑貨・化粧品・健康食品・浄水器・健康器具・パソコン通信機器等 | 将来印税的収入が得られるなどと販売組織に勧誘し,次々に組織加入者を増やしていくことによって利益が増えていくというもの |
ねずみ講 |
金銭・有価証券などの配当 | 後から組織に加入した者が支出した金銭を先に加入した者が受け取る配当組織 |
アンケート商法 |
貴金属・ブランド物・化粧品・エステ・美顔具・健康食品等 | 簡単なアンケートに答えてほしいと話しかけ「肌が荒れているから」「このままでは手遅れになる」などと不安を煽りエステ等を勧誘する |
無料商法 |
化粧品・布団・着物・掃除機・浄水器等 | 「無料招待」「無料体験」「無料旅行」など無料を強調して人を集め結局は高額な商品を売りつける |
催眠商法 |
布団・磁気マット・健康器具・着物・健康食品等 | 「会場にくれば無料でプレゼント」などと人を集め,閉め切った会場で日用品等を無料で配り,興奮状態になった段階で高額商品を売りつける |
ネガティブオプション |
雑誌・教材・焼き物・単行本等 | 商品を一方的に送りつけてきて,受け取った者が支払わなければならない状況を作出して金銭を支払わせる |
点検商法 |
屋根診断・床下換気扇・消火器・浄水器等 | 無料で点検にきたと偽り「床下にシロアリがいる」「屋根瓦がこのままだと落ちて通行人に怪我をさせる」などと偽り,工事契約を締結させたりする |
当選商法 |
携帯電話・外国宝くじ・着物等 | 「貴方が選ばれました」「抽選の結果当選しました」などと優位性を強調して商品やサービスの提供をうける |
かたり商法 |
浄水器・消火器・布団・電話機等 | 公的機関の職員や大手企業の営業と思わせて商品やサービスを契約させる |
開運商法 |
印鑑・貴金属・占い等 | 「購入しなければ不幸になる」「購入すれば開運が開かれる」などと人の不安を煽って高額な商品を購入させる |
実験商法 |
浄水器・洗剤等 | 化学実験を装い,安全性に問題があることを指摘して高額な商品を購入させる |
モニター商法 |
布団・浄水器・化粧品・エステ・美顔機器等 | モニターになったり,モニター料で商品が購入できるなど,無料もしくは低価格で購入できると思わせて契約をさせる |
先物取引商法 |
ガソリン・パラジウム・プラチナ・金・大豆・トウモロコシ等 | 「今が買いである」「相場が上昇している」などと言って強引に契約を迫り,一旦取引に応じるとやめることができず,勝ち逃げができない |
現代社会には多くの商品やサービスが多種多様に存在しています。さらに契約形態もひと昔前と異なり電子商取引など複雑になってきています。この傾向はさらに加速していくことでしょう。
しかし、これがどういうことかと言いますと事業者と消費者間の情報の質、量の格差がさらに広がり消費者はその加速度についていけず、結果消費者が泣くような場面も多々発生してくるのです。例えば私達は日常的生活の中で契約というものを、ごく当たり前のよう締結しています。スーパーで買い物をする場合の売買契約、電車やバスの運送契約等、契約書こそ交わしませんが契約を結んでいるし、また車や不動産の購入、ローンの契約には契約書が交わされるのが通常です。
しかし、その契約書は予め事業者が都合のいいように作成したものであり、消費者にとって不利な条項が多く存在しているものもあります。消費者にはその内容を排除したりすることは事実上できず、それに拘束されるため事業者優位ということがいわれていたのです。
そこでそのような格差をなくし、トラブルを避けるための統一的なルールを定めようとするのが消費者契約法なのです。
(1)「誤認」による取消し
事業者が、@消費者契約の重要事項について嘘を告げた、A消費者契約の目的となるものに関し将来における不確実な事項につき断定した情報を提供したB 重要事項等の事項について、消費者の利益となる旨を告げ、かつ、重要事項について、消費者に不利な事実があることを知っているのに告げないこと、のいずれかの行為に基づいてした消費者契約は取消すことができるのです。
(2)「困惑」による取消し
C事業者が、消費者から帰ってもらいたいと言われたにもかかわらず退去せず契約をしたD消費者が帰りたいと意思表示をしたのに事業者が帰さなかった結果(事務所などで)、契約を締結した場合消費者は、この消費者契約を取消すことができます。
追認できる時(消費者が誤認に気づいたとき、あるいは困惑する状況から脱したとき)から6か月以内、かつ契約締結時から5年以内に行使しないと、取消権は時効によって消滅します。
消費者契約法では事業者の損害賠償責任(事業者の債務不履行により発生)の全部を免除する契約条項は無効となると定めています。例えば、「当スポーツクラブでは利用者が怪我をしても、当クラブは一切責任を負いません」というような条項は無効だということです。
これによりその条項が無効とされた場合、民法の規定により事業者に損害賠償責任を問えることになります。
自宅の浄水器に関しては、取消して代金の返還を求める事ができますが、飲食店の方は消費者契約法による取消しはできません。消費者契約法はあくまで消費者を擁護するためのものであり、事業のための購入にはこの法律は適用されません。
しかし、消費者契約法の適用がない場合であっても、一般法である民法の規定までもが排除されるわけではないので、民法第96条に基づく詐欺による取消しは可能といえます。
ホームページ作成の内職募集広告を見て、その業者の説明会に参加したところ、登録料が30万円、パソコン購入費用が30万円かかるが、「業務提携している会社等が各地にあり、一日1〜2時間の作業で月15万位にはなります。」と説明を受けました。
そこで4ヶ月で返済も終わるし、それからは自分のお小遣いになると思い、はじめる事にしたのですが、その後、何ら斡旋はなく、はなしが違うので契約を取消し、登録料とパソコン代金を返してもらいたいのですが、できるのでしょうか?
重要事項につき事実と異なることを告げられ、これにより毎月15万円位の仕事は紹介してくれるであろうという「誤認」に基づいて登録料を支払ったのであり、またパソコンの購入にしても、仕事を紹介してもらい、内職を続けていくなかで代金を支払っていけると考えたからこそ買ったわけでありますから、登録契約とパソコンの売買契約は一体のものと考えられます。
したがいまして、パソコンの売買契約も取引条件の不実告知という事で取消すことができるものと思います。その結果、業者にパソコンを返還し、すでに支払済みの登録料、パソコン代金は返してもらう事ができます。
この場合、退去すべき旨の意思表示があったといえるかですが、社会生活上間接的な表現を用いる事は多々あるこですし、これにより「退去してほしいと思わなかった」というほうが常識はずれだと考えますので、この場合も取消しが可能です。
しかし後で裁判等になった場合、表現のニュアンスというのもありますので、なるべくでしたら断るときは、しっかりと断るべきです。
(電話勧誘などで「結構です。」という表現は、イエスなのか、ノーなのか以前問題となっていました。)
建替えが可能かどうかは、不動産売買契約を締結するか否かの判断に、影響を及ぼすべき重要な動機の一つといえますので、消費者契約法における重要事項について事実と異なることを告げられ、これを事実であると誤認して契約をしたものですから、不実告知として取消すことは可能です。
事業者が本来負うべき損害賠償責任の全部を免除する条項は、消費者契約法では無効とされますので、その結果、事業者に故意・過失があれば、それによって生じた損害の賠償を求めることができます。
駐車場に常駐した管理人がいて、その管理人の不注意により損害を負った場合や、スポーツクラブにおいて、お客さんから再三、足を引っ掛けて転ぶ人が多数いるので床の出っ張りを修繕するよう要望があったにもかかわらず、それを怠っていることにより損害を受ければ、損害賠償の責任を経営者に問う事ができます。